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トヨタWRC参戦の系譜 2016/7/10(日)

ヒストリーガレージにて特別企画展「トヨタWRC参戦の系譜~2017年新たな挑戦へ~」を6月下旬から9月上旬まで開催していた。以下の写真掲載順は観覧順と異なり、開発年代順とした。

GeoHack Kashmir3D セリカ ツインカムターボ(TA64) 1985

駆動方式が FR の 3代目セリカをベースとしたサファリラリーで活躍したグループBの TA64型セリカ ツインカムターボである。特徴的なライズアップ式ヘッドライトが固定式に変更されている。ラリーで四輪駆動が主流に成り始めた時代にこの駆動方式を持ち、前輪がストラット、後輪が 4リンクリジッド方式のサスペンションでは苦しい戦いだったろう。写真はユハ・カンクネンがドライバーで 1985年サファリラリーにて優勝したマシンである。

GeoHack Kashmir3D トヨタ MR2(222D) 1985

1980年代前半に過激化するグループBに対して、開発コストと参戦コストを低減を目標に構想されたグループS に沿って開発された 222D型MR2 である。これはミッドシップである AW11型MR2 をベースに、エンジンを 4A-G から 3S-GE に変更し、更に四輪駆動としたマシンである。1985年に開発されたが、グループB 廃止に伴い、グループS も構想に終わり、実戦に参加することがなかった幻の車両である。リトラクタブル式ヘッドライトが固定式に変更されているのが興味深い。

GeoHack Kashmir3D セリカ GT-FOUR(ST165) 1990

駆動方式が FF となった 4代目セリカは、流面形がキャッチコピーの滑らかなボディ形状が特徴だった。更にフルタイム四輪駆動とした ST165型 GT-FOUR モデルが追加され、これをベースにグループA 規定に沿ったマシンで参戦した。リトラクタブル式ヘッドライトを上げた状態で固定されている。写真はビョルン・ワルデガルドがドライバーで 1990年サファリラリーにて優勝したマシンである。

GeoHack Kashmir3D セリカ GT-FOUR(ST185) 1993 GeoHack Kashmir3D セリカ GT-FOUR(ST185) 1995

ST185型 5代目セリカ GT-FOUR をベースにラリー仕様としたマシンである。先代よりも更に曲面を多用したボディ形状で丸っこく見えるが、意外にも全長は 5代目の方が長い。4代目と同様にリトラクタブル式ヘッドライトを上げた状態で固定されている。左の写真はユハ・カンクネンがドライバーで 1993年オーストラリアラリーにて優勝したマシン、右の写真は藤本吉郎がドライバーで 1995年サファリラリーにて優勝したマシンである。サファリラリー仕様は、アニマルガード、シュノーケルとリアハッチ上のキャリアが物々しい。

GeoHack Kashmir3D セリカ GT-FOUR(ST205) 1995

ST205型 5代目セリカ GT-FOUR をベースにラリー仕様としたマシンである。4代目より全幅がやや広がって、丸型4灯ヘッドライトを装備した外観が特徴で、メカニズムはフロントにスーパーストラットサスペンションを装備していた。FF仕様に対して GT-FOUR は専用16インチアルミホイール、リアのトルセンLSD、フロント4ポット、リア2ポットのアルミ製ブレーキキャリパー、インタークーラー装備のためのバルジを持つアルミ製エンジンフード、大きな開口部を持つフロントバンパー等の違いがあり、如何にもレースベース車両である。更にホモロゲーションのための WRC仕様はアダプターを用いた大型リアスポイラー、フードエアスクープを持つ。写真はディディエ・オリオールがドライバーで 1995年コルシカラリーにて優勝したマシンのレプリカである。ラリーでの成績は今一つだった上に、エアリストラクターのレギュレーション違反による出場停止処分となったのは残念である。

GeoHack Kashmir3D カローラ WR-Car(プロトタイプ) 1997

1997年の新たな WRカー規定に基づき、ヨーロッパ仕様のカローラをベースに開発されたプロトタイプマシンである。これは 8代目カローラの 3ドアハッチバックをベースにしており、国内仕様には無い丸型ヘッドランプが特徴である。同じフロントデザインは国内仕様のスプリンターカリブ・ロッソに採用された。大型化してしまったセリカに比べると小柄になり、それなりに活躍できたようだが、1999年にトヨタは WRC から撤退してしまった。

GeoHack Kashmir3D ヤリス 2015

写真では最後になってしまったが、特別展の入り口に展示されていた 2015年に開発されたヴィッツのヨーロッパ仕様であるヤリスをベースにしたマシンである。三菱のイメージが強いトミ・マキネンがチーム代表となって 2017年から WRC に参戦している。それまでのマシンは白をベースにした赤と緑のラインのカストロールカラーであるが、これは TOYOTA GAZOO Racing の赤と黒のカラーリングが印象的である。TOYOTA GAZOO Racing はニュルブルクリンク24時間レース、ル・マン24時間耐久レースに出場する等、レース活動を積極的に行っている。2017年はフォルクスワーゲンから移籍したヤリ=マティ・ラトバラが1戦目が2位、2戦目が1位、7戦目が2位、これを記述している10戦終了後でランキング4位と18年ぶりの WRC復帰後としてはまずまずだろうか。