青森県立三沢航空科学館とは、青森県三沢基地に隣接する航空機の博物館である。単に航空機を展示しているだけではなく、航空力学に関する実験や体験ができる設備もある。また、その前には三沢市青空ひろばがあり、主に自衛隊で使用していた航空機が展示してある。
まず、青空ひろばから見学した。これは、国産ジェット練習機である T-2 を改造した戦後初の国産戦闘機である F-1 である。複座から単座になり、電子機器の追加が大きな違いである。濃緑色と薄茶色の迷彩塗装で、三沢基地第三飛行隊スペシャルマーキングがされている。機体番号 00-8247 だった。
国産の練習機 T-2 のブルーインパルス仕様である。青空ひろばの展示機は吸気口も排気口も塞がれているのが残念であるが、屋外展示である以上仕方ないのであろうか。解説してくださった係員は、航空機こそ屋内ではなく、屋外に展示すべきというお考えのようだった。太陽光で機体を眺められるのは嬉しいが、汚れや腐食に対する手間が掛かりそうで大変と思った。機体番号 29-5177 だった。
三菱重工双発ターボプロップビジネス機 MU-2 の陸上自衛隊向け連絡偵察機の LR-1 である。迷彩塗装がものものしい。機体番号は JG-2009 だった。この隣に、ヒューズ OH-6D(31184) と F-4EJ改(57-8375) が展示してあった。LR-1 と OH-6D はコクピットに入ることができる。
この後、P-3、T-3、T-33(81-5344)を見た。航空科学館の方へ振り返ると、F-1、T-2ブルーインパルス仕様、F-1(59-5105)、F-104(76-8699)、F-16が見えた。
航空科学館に入ると、ロビーに飛行船を模した動く木製の大きなからくり細工が動いていた。入場料を払って入るとすぐに写真のミス・ビードル号が展示してあった。これは三沢市を離陸して、アメリカまで太平洋無着陸横断飛行に成功した機体だそうだ。空冷エンジンのカウリングは少しでも空気抵抗を小さくするためだろうが、胴体との隙間が気になった。腹部にはみ出した燃料タンクが如何にも長距離飛行機然としている。
周回航続距離世界記録 11,651.011km を達成した航研機の復元機である。全幅 27.93m に対して同じフロアに展示してある YS-11 の全幅が 32m なので、結構大型機である。設計に参画した木村秀政氏の出生地が青森という縁で展示されているようだ。アスペクトレシオの大きい主翼はグライダーのようで美しい。川崎製 98式液冷エンジンも展示されていた。
また、戦後国産初の双発ターボプロップ旅客機 YS-11 も展示されている。これは、木村秀政氏、堀越二郎氏、太田稔氏、菊原静男氏、土井武夫氏が製作に携わっている。展示機は東亜国内航空で採用され、社名変更した日本エアシステムで使用されていたものだった。キャビンに入ることでき、コクピットを覗ける。
通常展示とは別室で、十和田湖から引き上げられた旧日本陸軍一式双発高等練習機と映画「山本五十六」で使用した零戦二一型を展示していた。前者は 70年以上前に湖に沈んだにも拘らず、結構原型を留めたままなのにびっくりした。部品なども展示してあった。後者は映画用の実物大模型であるが枕頭鋲も打ってあり、結構リアルな仕上がりだった。