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Torque Pro

このページでは Torque Pro について説明する。


  1. 準備

    大気中に PM(Particulate Matter、煤) を排出しないように装備された DPF(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子捕集フィルター) は PM が堆積すると自動で除去機能 (DPF再生) が実行される。SKYACTIV-D の項目に記したように自動で DPF再生が実行できない条件は取扱説明書に記されている。一方、自動で DPF再生が実行される条件はメーカーから公開されておらず、ユーザーサイドで色々推定されている。OBD(On Board Diagnostics、車載式故障診断装置) は電子回路の配線類の断線、各種センサからの異常な信号、センサの入力値に基づいて演算する性能異常値等を検出し、不具合が生じると DTC(Diagnostic Trouble Code、故障コード)を記録する。点検整備時に DTC を読み込んで故障箇所を特定し、必要な修理や部品交換を行う。OBD を介しては故障以外にも車両側のデータを読み出す機能があり、DPF再生条件を把握するためには DPF関連のデータを読み取ることが必要と考えた。MAZDA2 の場合、ボンネットオープナーの左隣下向きに接続用端子がある。ユーザーサイドではこの端子に Bluetooth通信可能なアダプターを接続し、スマートフォン用アプリで読み取るのが一般的なようだ。編者はアダプターとして技適マークのある MAXWIN製 OBD2マルチメーター M-OBD-V01、アプリとして Torque Pro を選択した。編者は DTC を読み込んで消去する機能を利用せず、車両側のデータを読み込んで表示し、いくつかの値はログとして記録する目的でこのアプリを用いている。

    ・以上の内容は以下の情報を参考にした。

    車載式故障診断装置を活用した自動車検査手法のあり方について(最終報告書) 国土交通省
    MCP2515を使った自作基板とRaspberry Piで自動車のECUにOBDリクエストを送る suzutsuki0220氏

    なお、本ページに掲載されている内容はメーカ推奨の行為でないことを承知の上、各位の自己責任で利用されたい。OBD と接続することによって、車両を壊した例や警告灯が付く、AT の動作がおかしい、走行中に突然エンストする等の不具合が発生した事例が散見される。また、アダプターをエンジン停止時に接続することによって車両のバッテリーを放電させた事例もあるようだ。本ページの内容によって各位が受けたトラブルなどに対し編者は一切責任を負わない。

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  2. M-OBD-V01

    ELM327 Identifierによる結果

    OBD を介するデータの受渡しには ELM Electronics製の ELM327 という IC を用いるのが一般的なようだが、この IC の正規品ではなくコピー品を用いた製品が多いらしい。確認するために、ELM327 Identifier による MAXWIN製 OBD2マルチメーター M-OBD-V01 をチェックした結果を示す。

    M-OBD-V01 には電源ボタンがある。OBD に常時電源が供給されていても接続用端子に接続しただけでは M-OBD-V01 の電源はオンにならない。本体の電源ボタンを押して電源をオンにすればスマートフォンと接続できるが、ACC ではなくエンジンを掛けないとデータが送られてこない。アプリの使用後に M-OBD-V01 を車両に接続したままだと電源はオンのままとなる。接続したままで電源ボタンを押せば電源をオフにできる。電源のオン/オフは本体の赤いランプで確認できる。

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  3. 設定

    本アプリでは設定で英語表記のメニューに出来る。以下の説明ではかっこ内に英語メニューを示す。

    まず、初期画面左下の歯車アイコンの「車両プロフィール(Vehicle Profile)」から車両情報を入力する。プロフィール名(Profile name)、Vehicle Type、排気量(Engine displacement)、車両重量(Total Vehicle Weight)、燃料の種類(Fuel Type)、燃料タンク容量(Fuel tank capacity)、エンジンの最高回転数(Max dial RPM)を入力した。エンジンの最高回転数は回転数を表示するメータの上限として用いられる。

    次に、初期画面左下の歯車アイコンの「設定(Settings」から「単位(Units)」では、マイル(Miles)、フィート(Feet)、psi、ガロン(Gallons)、USガロン(US Gallons)、CFM を用いず、摂氏(Celsius)、Kilogrammes、in/Hg、Nm(Newton-Meters) を用いる設定とした。「ODB2アダプタ設定(ODB2 Adapter Settings)」では予め M-OBD-V01 とペアリングし、「接続の種類(Connection Type)」で Bluetooth を選択し、「Bluetoothデバイスの選択(Choose Bluetooth Device)」で該当機種を選択した。「高速通信(Faster communication)」はオンにし、「MPG、燃料(Don't Calculate MPG/Fuel)」を計算しないを選択した。

    マツダ SKYACTIV-D 関係の情報を得るためには shuichi氏の作成したTorque PID for MAZDA SKYACTIV-D をインストールした。これはプラグインとして認識され、初期画面左下の歯車アイコンの「設定(Settings」「拡張PID/センサ管理(Manage extraPIDs/Sensors)」で右上のメニューから「定義済みセット(add predefined set)」を選択し、「MAZDA SKYACTIV-D」と「MAZDA SKYACTIV-D 1.5」を選択して使用できる。

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  4. ダッシュボード

    各メーター(アプリの表記では画面、display)を設置するダッシュボード(dashboard)はデフォルトで7画面である。初期画面左下の歯車アイコンの「設定(Settings」「基本設定(General Preferences)」「ダッシュボード画面数(Number of dashboard screens)」で最大15画面に設定することができる。画面数を減らす場合には両端から削除されるので注意する。各ダッシュボード画面は初期画面の Realtime Information で起動し、各画面間はフリックで移動できる。任意のダッシュボード画面の左下の歯車アイコンで「画面を追加(Add display)」を選択するとメーター(画面、display)を追加できる。

    メーター(画面、display)を追加するには、最初にメーターの種類(画面の種類)を選択し、任意の PID(Parameter ID) 又はセンサーを選択する。次のダイアログで6種類のサイズから任意のサイズを選択して、メーターの配置場所を設定する。配置場所は後で変更可能である。配置したメーターを長押しすると、メニューが表示され「表示を移動(Move display)」で移動が、「項目を削除(Delete display)」で削除できる。このメニューで「Display configuration」を選択すると、表示タイトル(Change title)、最大値(Set Maximum Value)、最小値(Set Minimum Value)、メーターの種類(Change display type)、サイズ(Change size)、表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)が変更できる。表示するメーターが決まったら、各ダッシュボード画面の左下の歯車アイコンの「Layout Settings」で「Toggle edit layout mode」を選択すると配置場所の変更が容易となる。

    例えば「DPF Regeneration Status」のような Unit type が ON/OFF の場合、メーターの種類は「On/Off display」を選択すると On になった際あたかもインジケータが発光している表示になるので便利である。また、時計を追加する場合はメーターの種類で選択しておく。

    PID には標準のものと車種独自のものがあり、MAZDA 独自の DPF 関係のデータを得るには先に述べた Torque PID for MAZDA SKYACTIV-D を用いるのが簡単である。読み取りたいデータに対して、その PID とデータの構造が分かれば計算式を自分で設定することもできる。過去 DPF の PM堆積量の値の計算式はユーザーサイドで色々試されていたようである。また、得られた複数のデータから計算した値を表示することも可能である。例えば、DPF Regeneration Average Distance の値は車両側から得られた 3つのデータから求められている。

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  5. ログ記録

    初期画面左下の歯車アイコンの「設定(Settings」「基本設定(General Preferences)」「Data Logging & Upload」で「ログ対象を選択(Select what ro log)」で記録する PID やセンサーを選択する。「ファイルログ追記間隔(File Logging Interval)」で間隔を 0.1秒から 5秒間隔まで選択できる。各ダッシュボード画面の左下の歯車アイコンからログ記録開始(Start logging)を選択してログ記録が開始される。停止は同様に Stop Logging を選択する。文字コードが UTF-8 の CSV 形式のログが torqueLogsフォルダに出力される。

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  6. 参考ページ

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