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令和6年度百里基地航空祭 2024/12/8(日)

2019年からしばらく観に行かなかった百里基地航空祭に出掛けた。各見出しにある時刻は事前配布されたパンフレットのタイムテーブルを転記したものである。


予約から到着まで

調べてみると、2020年は 3年に 1度の「航空観閲式」開催時に当り開催されず、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止、それ以降は毎年開催されていた(1)ようだ。2018年から基地周辺に駐車場が用意されず、シャトルバスでしか基地内に入れなくなってしまった。シャトルバスの発着は石岡駅東口、茨城県三の丸庁舎駐車場、土浦駅東口、大洗サンビーチ多目的広場があったが、編者が基地祭開催に気付いたのが遅かったので、すでに大洗発のバスチケットが完売、三の丸庁舎発着の関東鉄道の往復バスチケットをコンビニエンスストアで購入した。当日は 5時前に MAZDA2 で日立を出発、シャトルバスの発着所である三の丸庁舎を目指すと、5時半過ぎなのに周辺道路にはバスに乗るであろう人達がうろうろしていた。予定していた立体駐車場を止めて手前の駐車場に留めたら、長時間駐車の割引が無かった。当然の事ながら夜明け前で真っ暗だが、25分程並んでようやくバスに乗れ、6時過ぎに出発した。仙波大橋を越え水戸市内を南下、東野町交差点から R6 に出て、直ぐ茨城町東IC から北関東道に上がって、茨城町JCT から東関東道、茨城空港北IC で降りるかと思ったら、鉾田IC で降りた。そのまま西進するかと思ったら、県道8号線を西進して上山交差点を右折、北上して基地内に入った。思うにその他のシャトルバス、特に大洗発のシャトルバスと経路が重ならないようにするためだったと考えている。7時少し過ぎてバスを降りた。バスを降りると正門近くの雄飛園の傍だった。入場前に手荷物検査があり、特に一脚を持ち込んでいないか注意された。

07:30~ 天候偵察 (F-2)

天候偵察 F-2

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できるだけ早く到着したかった理由の一つが、F-2 の飛行を少しでも多く見たかったからである。既に会場には沢山の人が居た。昔の航空祭はマニアのためだけだったような気もするが、結構ご家族連れが多い。駐機している Blue Impulse の写真を撮りながら離陸を待った。後から撮影した写真を見直してみるとまだ太陽が昇って時間が経っていないのが良く分かる。編者にとって自衛隊機とは幼少期に見た銀色の F-104J か、灰色の F-4EJ のイメージが強いので、洋上迷彩の F-2 は何だか違和感がある。次の航過飛行を待つ間に地上展示されている機体を撮影した。

08:00~08:40 航過飛行 (UH-60J/U-125A/T-4/F-2)

航過飛行 F-2 6機編隊

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航過飛行とはフォーメーションの様式を見せる編隊飛行(2)を指す言葉のようだ。リンク先のページを読むと航空法の要件によって分類されているように思う。離陸に向かう F-2 を撮影していると、まず U-125A が離陸し、続いて UH-60J、T-4 が、F-2 は 2機ずつ編隊離陸していった。これらの機体が飛んでいる間に格納庫に展示されている F-2、T-4 を撮影した。写真は航過飛行最後の 6機編隊 F-2 である。この位雲があった方が写真として面白いと思う。

09:05~09:30 機動飛行 (F-15)

機動飛行 北陸新幹線カラー F-15

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機動飛行 北陸新幹線カラー F-15 ともにこえよう石川

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機動飛行 航空自衛隊70周年特別塗装機 F-15

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F-15 を見ると編者が名古屋に住んでいた頃に岐阜基地でローパスしてきていきなり垂直上昇し、ずば抜けたエンジン出力を見せつけられたことを思い出す。調べてみると初飛行が 1972年(3)、航空自衛隊に制式採用されたのが 1977年(4)とのことなので随分長い間見続けてきたことになる。写真は小松基地所属の特別塗装機で PLATZ BLOG(5) によると、左の2枚の写真に示す機体上面に隊のマークである「ファイティングドラゴン」が描かれた機体は第303飛行隊所属で、コクピット周辺と翼端の青色と金色の塗分けから北陸新幹線カラーと呼ばれている。2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災者に対する応援メッセージ、「ともにこえよう石川」が増槽に描かれている。右の写真に示す機体上面に「イヌワシ」が描かれた機体は第306飛行隊所属で 70周年を象徴する紫が主翼に塗られ桜が添えられている。「ファイティングドラゴン」は地元「白山」に棲まうとされる龍がモチーフ、第306飛行隊のマークは「ゴールデンイーグル」で石川県の県鳥である「犬鷲」がモチーフ(6)とのことである。

09:40~10:10 探索救助 (UH-60J/U-125A)

探索救助 UH-60J

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次は UH-60J(7) と U-125A(8) による探索救助訓練である。先発の U-125A が救助者を発見し、救援物資を投下、UH-60J から 3名がパラシュートで降下、救助者を UH-60J に引き上げるというデモである。パラシュート降下はスピード感こそ無いが、ピンポイントで着地できる技術はすごいと思った。ホバリングしながら救助者の引き上げるのは改めて見ると相当な訓練が必要だと感じた。近年地震や津波等の災害が多く発生し、出動する機会も多いのだろう。たまたまこのアングルの撮影となったが、回転翼機らしからぬ優れた機動性が感じられる。

10:10~10:30 機動飛行 (F-2)

機動飛行 F-2

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次は F-2(9) による機動飛行である。撮影中はあまり気付かなかったが、翼端やストレーキからいわゆるベイパーが発生している。これは飛行機雲(10)の一種で断熱膨張による水蒸気の凝結が原因らしい。ベースの F-16 に対して主翼の形状、面積の増加、キャノピーの違い等が良くわかるアングルである。洋上迷彩が日本機らしさを醸し出している。

11:20~12:00 曲技飛行 (T-4 ブルーインパルス)

曲技飛行 BlueImpulse ダイヤモンド編隊

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曲技飛行 BlueImpulse 5機編隊

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さて、いよいよ会場の多くの観客お待ちかねの Blue Impulse による曲技飛行である。編者は飛行機を眺めたり撮影したりするのは大好きだが、各演目の名称等についてはさっぱり知識がないので参考文献(11),(12),(13)を読みながら演目名等を記した。なお、当日は会場で演目毎に説明があった。このページでは全ての演目を表示せず抜粋している。左の写真はダイヤモンド編隊や 5機による編隊飛行である。後に出てくるオポジットコンティニュアスロールやタッククロスに比べると地味な演目だが、曲技飛行の基本的な練度が分かる美しい隊形である。

曲技飛行 BlueImpulse オポジットコンティニュアスロール

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派手さはこのオポジットコンティニュアスロールが一番だと思う。一眼レフに長焦点のレンズを装着して撮影するのもスリリングで良い。北側の機体を追尾し過ぎて構図が甘くなったのが残念である。

曲技飛行 BlueImpulse クリスマスツリーローパス

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クリスマスツリーローパスである。西側からゆっくり侵入してきて主脚を出したまま低速、低空でデルタ編隊のまま通過するという地味だが難易度の高そうな演目である。この写真では分かり辛いが前脚の灯火を点けスモークを出して更にデルタ編隊が上下二段なのがクリスマスツリーということか。

曲技飛行 BlueImpulse タッククロス

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タッククロスである。すれ違いに背面飛行が加わっている。タッククロスは単なるすれ違いだけではなく、複数の機動飛行を含む演目である。

13:15~13:40 AGG (F-2)

AGG F-2 2機編隊×2

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最後の演目は F-2 による AGG(Air to Ground Gunnery)(14) である。Air to Ground Gunnery とはリンク先にあるように対地射爆撃を表す。Blue Impulse による曲技飛行が終了すると多くの観客、特に家族連れが帰り始めたが、編者にとっては当日一番緊張感のある演目で目が離せなかった。今まで 2機編隊による機動飛行を見たことはあっても、このような 2組の 2機編隊による飛行は初めてだったので、構図も面白いものになった。

地上展示他

地上展示 UH-60J

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地上展示 CH-47J

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地上展示 AH-1S

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以下は地上展示他を示す。まず、編者のあまり興味の無い回転翼機で左から救難機の UH-60J、輸送機の CH-47(15)、対地、対戦車攻撃機の AH-1S(16) である。UH-60J と CH-47 のコクピットに目玉の飾付けがあるのは子供向けか。UH-60J は空中給油装置、気象レーダー、赤外線監視装置、増槽等の装備が見える。CH-47 は珍しいタンデムローター機で編者が幼少の頃から就役しているから見慣れた機体でもある。AH-1S はかつて陸上自衛隊広報センターで見た記憶があり、そのスリムさを強調した写真となった。初飛行から結構年数は経っており、この任務については将来無人航空機に移行するらしい。

地上展示 E-2C

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地上展示 C-130H

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地上展示 V-22

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早期警戒機の E-2C(17)、大型輸送機の C-130H(18)、輸送機の V-22(19) である。E-2C については、この写真ではほぼ支柱しか見えないが、機体背面の大型円盤型レドームが特徴である。空母搭載用に主翼は畳むことが出来、この写真でも主翼後縁が胴体の上側に見える。編者は当日気付かなかったが、この主翼の展開と収納の実演が行われたそうだ。C-130H は愛称が Hercules という、いかにも輸送機らしい翼幅 40.41m の巨体が特徴で、海外派遣で話題になった。V-22 は近年ニュースで話題になる機体で、編者が実物を見たのは初めてである。最大の特徴は回転翼がティルトローター方式を採用していることで、固定翼機として用いることで回転翼機よりも高速で航続距離に優れる。

地上展示 U-680A、SH-60K、AH-1S、V-22

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飛行点検機の U-680A(20)、哨戒機の SH-60K(21)、AH-1S、V-22 である。U-680A は老朽化した YS-11FC(22) の後継にあたるらしい。YS-11 といえば第二次世界大戦後初の国産旅客機として有名で、三沢航空科学館で機体内部を見学したことがある。自衛隊で輸送機として使われ、この FC というのはフライトチェッカーの略だと今回記事を書くために調べて知った。SH-60K はシコルスキー社の SH-60B をベースにした SH-60J の機体を再設計したものだそうで、如何にも回転翼機老舗メーカーの形をしている。

格納庫 T-4とF-2 コクピット展示

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第2会場である格納庫に展示された練習機の T-4(23)と F-2 である。F-2 はコクピット、座席のみ、搭載エンジン F110-IHI/GE-129B も展示されていた。T-4 は Blue Impulse のベースとなる機体で灰色に塗装されている。本来練習機なのでこの塗装の方が標準だが、編者がかつて見た機体は Blue Impulse の塗装の方が多い。

地上展示 F-2 2機

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第3飛行隊所属機の 70周年記念塗装(24)を施された尾翼が見える。部隊マークの「兜武者」の背景はさざ波が立つ海と夕陽または月のようで写真の機体右側は夕陽の赤色、左側は月の白色となっている。

地上展示 F-2、F-15、BlueImpulse

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Blue Impulse の曲技飛行が終わった後の F-2、F-15、Blue Impulse が整列した様子である。規則的な並びに美しさを感じるのが編者の撮影モチーフの一つである。

遊覧車

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F-35 を模した遊覧車で地上展示されている航空機の周りを周遊している様子である。これは子供と同伴者のみ乗車可能の割に結構大人が乗っているように見える。この写真では分からないが、この方向に茨城空港ターミナルビルがあり、茨城空港公園で展示されている RF-4EJ と F-4EJ が見えた。

地上展示 BlueImpulse 予備機と筑波山

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地上展示 BlueImpulse 1番機から4番機

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左側の写真は朝到着時の、右側の写真は全ての演目が終了し、編者が会場を離れる直前の Blue Impulse である。左側の写真は予備機で、背景に見えるのは茨城県で有名な標高 877m の筑波山(25)である。何度も百里基地に行っているはずなのに初めてここから筑波山が見えることに気付いた。検索すると筑波山を背景に航空機を撮影したページが沢山見つかる。右側の写真は 1番機から 4番機が写っている。まだ 14時前だったが、南西向きだと逆光で機体が暗く見える。

終了後

AGG が終了して観客が皆すぐ帰るわけでもなかった。編者が駐機している Blue Impulse 等を撮影しつつ会場を離れたのは 13時50分、三の丸庁舎へ戻るシャトルバスの乗車待ちの列に並び始めたのは 14時過ぎ、乗車して出発したのは 14時40分、三の丸庁舎に到着したのは 16時10分と往路の 1時間に対して復路は 1.5時間だった。ルートは往路の逆走で基地から県道に出るまでと高速道を降りてから水戸市内の渋滞で 30分程余計に時間が掛かった。駐車場で MAZDA2 に乗り 16時15分に出発し、日立に戻ったのは 17時40分だった。一日中ほぼ快晴で写真撮影に程良い雲もあって有難かった。

参考ページ

(1) ^ 百里基地 航空祭 過去の開催イベント一覧 | FlyTeam イベント情報

(2) ^ アクロバット飛行、編隊連携機動飛行、航過飛行-ブルーインパルスの楽しみ方-BlueImpulseFan.net

(3) ^ Wikipedia F-15 (航空機)

(4) ^ Wikipedia F-15J (航空機)

(5) ^ ド派手な特別塗装機を大型デカールで再現!2024年9月23日に航空自衛隊小松基地航空祭にて登場したF-15Jイーグル「航空自衛隊70周年記念塗装機」 | プラッツブログ PLATZ Blog

(6) ^ 第6航空団飛行群|航空自衛隊について|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊

(7) ^ 航空自衛隊:救難ヘリコプター UH-60J 洋上迷彩塗装機 - いこまいけ高岡

(8) ^ Wikipedia U-125 (航空機)

(9) ^ Wikipedia F-2 (航空機)

(10) ^ 飛行機雲 | 都会の空 | 空の写真集

(11) ^ 【保存版】ブルーインパルス全ての技一覧 演目の難易度は? | めいみブログ

(12) ^ ブルーインパルス演目 | HARUKAZE

(13) ^ ブルーインパルス MASDF@ぐり

(14) ^ 百里3SQが築城8SQに対抗心を見せたAGG(Air to Ground Gunnery)|「航空祭なら旅っくす」を目指す添乗員の航空祭リポート『百里基地航空祭2024編』

(15) ^ Wikipedia CH-47 (航空機)

(16) ^ Wikipedia AH-1 (航空機)

(17) ^ Wikipedia E-2 (航空機)

(18) ^ Wikipedia C-130 (航空機)

(19) ^ Wikipedia V-22 (航空機)

(20) ^ Wikipedia セスナ サイテーション・ラティチュード

(21) ^ Wikipedia SH-60K (航空機)

(22) ^ Wikipedia YS-11

(23) ^ Wikipedia T-4 (練習機)

(24) ^ クールな和装スぺマをまとい、空自70周年記念“兜武者”F-2がインド空軍演習に出発 | FlyTeam ニュース

(25) ^ Wikipedia 筑波山

本ページの画像は全て PENTAX K-1 Ⅱ に HD PENTAX-D FA150-450mmF4.5-5.6ED DC AW 又は HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR を装着し、35ミリフルサイズ M:22M(5760 × 3840)で撮影したものである。IrfanView を用いて 300 × 200 に縮小したものを表示し、クリックして大きなサイズで表示されるのは 2880 × 1920 に縮小したものである。