CX-80 は新世代ラージ商品群第一弾である新型クロスオーバーSUV CX-60 に続く第二弾クロスオーバーSUV である。これらは直列6気筒エンジンを縦置きで搭載した FRベースであることが特徴で、同じ3列シートであった CX-8 が横置きエンジンで FFベースという点も異なっている。搭載している直列6気筒エンジンはいずれも SKYACTIV-D 3.3 が基本だが、マイルドハイブリッドモデルと非ハイブリッドモデルとでは最大トルクと最大出力値、その発生回転数が若干異なり、マイルドハイブリッドモデルの方が最大出力が高いにも関わらず、カタログの WLTCモード燃費が優れているという違いがある。更に 2.5L の直列4気筒のガソリンエンジンと 129kW のモーターを搭載した PHEVモデルもある。CX-80 は全長 4990mm、全幅 1890mm とサイズも大きく、ホイールベースが 3120mm と長大な点で編者の購買対象から外れるが、試乗することでそれらがもたらす利点を確認しようと考えた。
なお、本文中薄灰色背景の箇所は参考にしたページからの引用を、【】で囲まれた箇所は取扱説明書の各ページへのリンクを、《》で囲まれた箇所は本ページ下部の燃費一覧表へのリンクをそれぞれ示す。
MX-30の試乗キャンペーン時には試乗時間上限が 47時間だったのに対し、今回の MAZDA CX-80 LONG DRIVE は 72時間となっている。おそらく宿泊を含めて長距離、長時間試乗して欲しいという意図があるのだろう。借りた北関東マツダ日立店から土日は避けて欲しいと聞いていたので、日曜日の夕方に借りて翌月曜日の夕方に返却することにした。比較的仕事に余裕のある時期の平日でも 1日を超えて年休を取得するのは気が引けたからだ。また、普段利用している駐車場にはとても CX-80 が収まらないという問題もあり近所に駐車場も無いから、借りた当日はどこかで一泊することを考えた。CX-80 の性格による使い方を考慮して高速道路主体の巡行性能と燃費チェックをメインにワインディングでのハンドリングチェックできる試乗ルートを検討した。高速道路主体でもアップダウンがある方が好ましいが、この条件に最適な郡山以北の東北道の不慣れな積雪した路面を走りたくなかったので常磐道、圏央道、東北道、北関東道のループに R461 と茂木から水戸に向かう県道51 を走ることにした。色々なルートが考えられるが、1日目にある程度距離を走っておいた方が良いだろうと考え、つくば牛久IC 周辺の宿を予約した。しかしながら、予定の 1週間前から 3月3日は雨、場合によっては雪との予報だったので前日までルートの選定に悩んだ。当初の計画では北関東マツダ日立店を 16時に出発して常磐道を走り、つくばで夕食と宿泊だけのつもりだったが、2日目の最後に走るつもりだった R461 を先に走ることにした。非ハイブリッドモデルであるアーティザンレッドプレミアムメタリックの XD L Package 2WD をお借りした際、燃料はタンクに半分程度入っているので使った分だけ給油するようにと言われた。なお、写真のように CX-80 はフロントグリル左上に 3つのブロックのワンポイントアクセントが装着されている。
予定より 1時間早く 15時に出発して、R6を北上、鹿島町のガソリンスタンドで給油し、桐木田の交差点から県道36 で本山トンネルを越え、入四間の交差点を右折、グリーンふるさとラインで鳥曽根から R461 に入って、写真の清流の郷・花貫物産センターで休憩した。冬季に凍結した路面を避けていた久し振りの県道36 では 2023年9月の土砂災害の後に積まれていた土嚢が撤去されていた。当日は日立市で日中気温が 20度近くまで上がったので本山トンネル前後の路面も特に怖い思いはしなかった。ただ、凍結防止剤を撒いた跡が所々で見られた。トルコンレス8ATは湿式多板クラッチを油圧で制御している。発進時は半クラッチ状態のはずだが、振動も違和感も無い。変速ショックも無くスムーズだが、下り坂では MAZDA 2 の SKYACTIV-DRIVE 6AT 程積極的にシフトダウンしていないように感じた。マニュアルモードは装備されないので、自分でギアを選択するには【ステアリングシフトスイッチ】でダイレクトモードを使うことになる。ダイレクトモードだと現在のギヤがメーター内に表示され、それを見ると市街地でも第6速にすぐに入るし、ワインディングでも第4速、第5速主体といったところか。今回の試乗ルートの内、県道36 が最もタイトで勾配のきつい区間だったが、車幅を感じるものの思ったように曲がる様子はマツダの車両共通であった。アイポイントが高くてロールが深く感じられる一方ロール速度はゆっくりしていると思った。
花貫物産センターを出て暫くは凍結しやすい区間だが、今回は問題なかった。峠を過ぎて下り始めて速度の上がりやすいワインディングは俊敏という程でないにしてもスムーズに曲がる。折橋の交差点を左折して、R349 を南下、このあたりでセンターディスプレイに表示される区間燃費が結構良いことに気付いた。町屋の交差点を右折して十国トンネルを越えようと思ったが、すぐに Aバリケードで通行止めの指示があったので Uターンした。再び町屋の交差点を右折する際、直進の入四間方面も Aバリケードで通行止めの指示が見えた。常陸太田を過ぎて、那珂町の杉交差点を右折し、《那珂IC》から常磐道に乗った。ETC車載機を装備していないので、通行券を一般ゲートで受け取った。
当然のことながら、合流の加速は全く問題は無い。MAZDA 2 だと合流時の加速に力強さを感じるが、CX-80 はするすると加速してエンジンを回しているという気持ちにならない。巡行も気楽でいつでもどこでも自分の好きな速度で走れる。ロングホイールベースの恩恵かピッチングを感じない一方、何となくゆらゆらと左右に揺れているように思った。車線の中で普段から左寄りを意識しており広い車幅のせいか、i-ACTIVSENSE の一つである LDWS(Lane Departure Warning System、車線逸脱警報システム)が始終警告を発していた。前方、左右後方の視界は良好だが、3列目シートのヘッドレストが大きいこと、リアウィンドウが離れていていること、車高が高いことで後方車両が見えにくいと思った。MAZDA 2 だと後方車両のドライバーの顔が見えるが、CX-80 ではルーフしか見えない場合もあった。大型車両を追い越す際には左側の距離が近いように感じた。
走り慣れた常磐道はほぼ平らで面白味もなく、淡々と走った。桜土浦IC、谷田部東PA、つくばJCT と続く区間のレーンチェンジは慎重さが必要である。左側の車線に移るには BSM(Blind Spot Monitoring、ブラインド・スポット・モニタリング)が役に立つ。日曜日の夕方らしく谷田部IC から先は渋滞しているようだったがその手前のつくばJCT からつくば牛久IC で高速道路を降りた。当然一般ゲートを通過したが、ETCカードを挿入したら、スピーカーから車載機の有無確認の音声が聞こえてきた。後から考えてみれば ETC休日割引の適用確認だったのだろう。日曜日の夕方ならそれなりに空いているだろうと予想していた《イオンモールつくば》の駐車場は結構混雑していた。慣れない車なので、建物より離れた車両のまばらな位置に駐車した。写真はさち福やの熟成とんかつの鉄板ふわふわ玉子とじ定食である。メニューは無く案内の QRコードをスマートフォンで読み取ってオーダーする方式だった。夕食後は宿泊地のホテルニューたかはし高野台に移動した。カーナビでは R408 側に案内されたが、出入口は一本北の細い道に面しており、駐車場は建物の前と少し離れた北側にあった。MAZDA 2 のボタン式とは異なり、ドアノブの【タッチセンサーでドアの開錠と施錠を行なうシステム】には慣れを要した。
就寝する頃には窓の外から雨音が聞こえてきて、起床して外を見ると雨模様だった。夜の内に翌日の天気予報を確認すると午後以降の降雪確率が高かった。意外なことに水戸以北では午前中にも降り出しそうな予報だったから試乗ルートを再検討した。当初の計画通り、圏央道、東北道、北関東道と高速道路を巡行するのは同じで上三川ICで降りて一般道を走ると路面が心配、となると R6 を走って帰るのがいいだろう、ということで早めに出発することにした。駐車場では写真のようにフロントがややはみ出ていた。やはりこの全長では駐車できる場所を探すことになる。
平日の朝の通勤時間帯の混雑を避けるために宿泊地をつくば牛久IC 近くにしたので、出発してすぐ圏央道に入った。2017年の境古河IC - つくば中央IC 間の圏央道開通直後は片側 1車線だったから渋滞、事故が多かったが、片側 2車線化が進み流れは良くなっている。久喜白岡JCT までの区間は微妙なアップダウンがあり、速度もわずかに変化するのが流れが一定とならない理由だろうか。ここまで雨が結構強かったが、東北道に入ると小雨になってきた。一旦《羽生PA》で休憩した。案外混雑していて、駐車スペースを見つけるのに苦労した。東北道は圏央道より流れが速く、台数も多いので緊張する。佐野藤岡IC、岩舟JCT、栃木都賀JCT の区間は今回試したかったアップダウンのある区間である。予想通り巡行はスムーズで、追越しの加速、登坂にも躊躇は無い。回しても 2500回転少し、巡行時には 1500回転程度であった。1000回転程度の巡行でも穏やかだった。常磐道よりアップダウンがあり速度の低下した車両の追越しの回数が増える。北関東道に入ると再び雨が強くなってきて、気温が下がってきた。台数がまばらになってきて自分のペースを作りやすかった。笠間以東で雪が予想されていたが雨のままだったので、《笠間PA》で休憩し交通情報を確認した。この先特に規制は無くもう少し一般道を走りたかったから、茨城町東IC で降りるのは止め茨城町JCT から東関東道を走ることにした。高速道路にある継ぎ目程度ではショックは少なく快適だった。アイポイントが高い分視界が広く、遠くの車両まで見渡せて安心するが、直進していても左右に揺れているような感覚は何だろうか。
東関東道はずっと片側 1車線区間でペースも下がった。この頃は雨は小降りだった。《鉾田IC》で高速道路を降りて塔ケ崎坂上交差点を左折、飯名交差点を左折して県道110 を北上した。このルートはそんなに幅員が広いわけではなく、センターラインがあり適度にくねって若干アップダウンもあり、荒れている程で無いにしろ路面に凸凹があるのが試乗には都合が良い。高速道路の巡行は単調で退屈な一方、このような一般道で道がくねっている方が楽しい。路面の凹凸もあまり感じない。ふわふわした乗り心地では無いが、MAZDA 2 のようにショックを伝えるのとは異なる。多分他に乗員が居れば快適な乗り心地と評価するだろう。茨城県運転免許センターを過ぎ警察学校入口交差点を右折して写真の《幸楽苑水戸住吉店》でちょっと早い昼食にした。
駐車場ではノーズが少しはみ出る。360°ビュー・モニターのおかげでバックは比較的楽だが、編者の腕前では狭い駐車場だったら取り回しに苦労するだろう。写真はゆず塩らーめんギョーザライスセットである。次の北関東マツダひたちなか田彦店での試乗は 13時の予約だったが、天候が不安だったので早く行くことにした。
R6 は特に混雑も無く順調に流れていたが、《北関東マツダひたちなか田彦店》に近づくと雪が舞い始めた。気温も 3度位で試乗をキャンセルして日立に戻るか悩んだ。到着してすぐ試乗車両を用意してくれたのだが、長い時間休憩してからマイルドハイブリッドモデルの XD-HYBRID Exclusive Modern に試乗した。道中濡れた路面で時折強い雨、慣れない大きなサイズの車両でかなり草臥れていたようだ。雪の中走りたくなかったということもあった。試乗前に自動ドライビングポジションガイドの使い方を教えてもらって設定した。最大出力が非ハイブリッドモデルよりも大きいとはいってもわずかな差しか無いが、発進時には力強くまた滑らかな回転と感じた。モーターのトルクアシストが効いているのだろう。モーターは燃費改善目的だけではなく、このような利点もある。マツダコネクトの燃費モニターを見ると信号で停止するちょっと前にエンジンを停止していることが分かった。マイルドハイブリッドモデルはいずれも 4WD しか設定が無い。PHEVモデルも 4WD しか設定がないから、FR を選択したいのなら非マイルドハイブリッドモデルを選ぶしかない。このモデルは 48V のリチウムイオン電池を搭載し、内燃機関ではあまり効率が良くない軽負荷領域において、エンジンを停止、切り離してモーターで走行する、加速時にエンジンの過給による応答遅れをモーターでトルクアシストする、減速時にエンジンを介さずに効率よくエネルギー回生を行うのが特徴である。両試乗車両の特に内装の違いをゆっくり写真に撮りたかったが、雪が降り止まないので数枚程度に留めた。この店に来るとLANTIS に乗っていた頃、ここにあった自動車用品店で MOMO のステアリングホイールに交換したことを思い出す。
なかなか雪は降り止まないが、いずれは日立に戻らなければならないから、R6 を北上した。今までこういう天気の場合、日立以南で雪が降っていても日立では降っていないケースの方が多かったように記憶しているが、今回は逆で日立に近づくほど降雪量が微増しているように思った。ルーフに雪が積もっている対向車も見掛けたので、日立で路面がどうなっているか不安だった。《北関東マツダ日立店》に到着すると、路面の積雪は無いものの編者の MAZDA 2 のルーフ、フロントガラス、ボンネットには雪が積もっていた。車両を返却し、ゆっくり休憩してから帰宅した。
以下はその他の感想である。グレードによる内装の違い等は CX-80 GRADE CHART に写真付きの詳細な説明がある。2種類の写真がある場合には左側が XD L Package 、右側が XD-HYBRID Exclusive Modern である。
内装は XD L Package が黒のレザーに対して、XD-HYBRID Exclusive Modern は白のナッパレザーとなっている。白い内装は洒落ているが、ずぼらな編者だと汚れたままにしそうなので黒い方を好む。Premium Sports ではタンとなっておりカタログ写真では編者の好みの色合いで、ステアリングホイールがタンと黒のツートーンなのも良い。そもそもレザーのシートに憧れがある一方冬に寒く夏に蒸れそうで普段使いの車には辛そうである。ちなみにナッパレザーとは通常の革よりも、柔らかさとしなやかさを向上させた表皮だそうだ。XD-HYBRID Exclusive Modern には車内にあるカメラの情報と入力した身長から運転者の体格を総合的に判断し、推奨するドライビングポジションに自動調節する機能である【自動ドライビングポジションガイド】が装備されている。実際に試した所、編者が自分で調節したよりも若干ステアリングホイールやペダルに近い位置に調整された。短時間の試乗では運転し難いということも無かったが、長距離の運転で違和感や疲労感があるかどうかまでは分からない。シートの各種調整に加えステアリングのチルトとテレスコピック(一部グレードを除く)も電動である。
CX-80 の 2列目シートは、座席の間にコンソールがあるセパレートのキャプテンシート、コンソールが無いキャプテンシート、 3人掛けのベンチシートの 3種類がある。今回の試乗車はどちらもキャプテンシートで XD-HYBRID Exclusive Modern はコンソールがあるタイプ、XD L Package はコンソールが無いタイプとなる。前後のスライド量も大きく、足元もゆったりしている。写真左側の XD L Package で運転席側の 2列目シートは一番後ろまで下げている。センターコンソールの後側に【リアのエアコンスイッチ】が装備されている。
トランスミッションはトルコンレス8ATである。SKYACTIV-D 3.3、e-SKYACTIV D 3.3、PHEV のどのモデルも CX-60 と共通のギア比を持ち、縦置きエンジンを活かしてエンジン、モーター、トランスミッションを直列に搭載している。今回メインで試乗したのは非ハイブリッドモデルだから勿論モーターは無いが、トランスミッションのために室内にセンタートンネルが出っ張っているのは同じで、その上に【セレクタレバー】、【コマンダースイッチ】等が配置され違和感が無い。セレクタレバーはパーキングのみ右方向に動かし、それ以外は前後に動かす形式でマニュアルモードは無い。車幅が広がった分は室内幅に活かされており、アームレストを兼ねたセンターコンソールによりレバー、スイッチの操作性が良い。センタコンソールは左右に分割して開き、収納ボックスとして使える。ここに Type-C の USBポートが2つ、ナビゲーションシステム用のSDカードスロット、HDMIポートが設置されている。フロントコンソールの表面仕上げはグレードによって異なる。セレクタレバーの右脇に【360°ビュー・モニター】スイッチがあり、前進駐車でモニターを使用する時に便利である。MAZDA 2 ではこのスイッチがステアリングホイールの陰にあり、押す際にはちょっとかがむ必要があり不便なのでこの位置は羨ましい。XD-HYBRID Exclusive Modern ではモニタースイッチの前に別のスイッチがあり、帰宅してから調べたら【ヒルディセントコントロール】スイッチだった。セレクタレバーの左には蓋付のカップホルダーがある。更にその奥は物置きになっていてシガーソケットが一つ設置されている。【QI によるワイヤレス充電】が可能で、充電エリアに充電出来ない異物があるとインジケーターが赤色に点滅する。
アルミホイールもグレードによって異なる。XD L Package はシルバーメタリック塗装で、XD-HYBRID Exclusive Modern は切削加工にグレーメタリック塗装となっている。更に、Premium Sports と Exclusive Sports はブラックメタリック塗装とバリエーションが多い。グレードによってホイールの塗装が決められているので、ユーザーが選択することはできない。多分内装との組合せで設定されているのだろう。今回試乗したグレードのホイールはいずれも 20インチでタイヤは 235/50R20 である。グレードによっては 18インチのホイールにタイヤが 235/60R18 の設定がある。
センターディスプレイは 12.3インチ(一部のグレードは10.25インチ)の横長タイプとなる。センターディスプレイに表示される内容は全てフロントコンソールのコマンダースイッチで操作し、タッチパネルは廃止された。取扱説明書を読むまで気付かなかったが、コマンダーノブ表面でスワイプやピンチ等の操作が可能なようだ。エアコン関係のスイッチ、シートヒータースイッチ、ステアリングヒータースイッチ、リアデフォッガースイッチは吹き出し口の下に位置する。MAZDA 2 ではエアコン関係のスイッチはダイアルタイプが 3つで優れたインターフェースと思っている。一方、CX-80 は全てが鍵盤状のスイッチになっておりスペースは横長だが縦方向には薄く省スペースで操作性も悪くない。特に温度設定のスイッチが運転席側と助手席側で独立に設定されているのが良い。フルオートエアコンの場合、任意の温度に設定し(経験上 25度が最適)、風量と吹き出し口切替を自動にしておけばこれらも自動で切り替えてくれるのでそんなに操作頻度が多くないだろうが、このようなスイッチの方がタッチパネルより使いやすいと思う。
お借りした車種にはオプションの【パノラマサンルーフ】が装備されていた。オーバーヘッドコンソールにサンシェードの開閉、チルト操作、スライド操作用のスイッチがある。運転免許を取る前までは車に欲しい装備の一つがサンルーフだったが、自分で車を買えるようになってからは要らない装備の筆頭がサンルーフになった。何なれば穴を開けることで剛性を下げ重量が増加するからである。しかしながら、昔と異なり高張力鋼板の採用によって強度と剛性を確保できるようになり、CX-80 の大きさと性格を考えると重量差は気にならず、特に 2列目シートの乗員にとっても面白い装備だと思う。今回は天候不良でサンシェードを開けることしかサンルーフを試せなかったのが残念である。なお、サンルーフの装着によってカタログの WLTCモード値では 0.1 km / L 低下する。
今回の試乗での各区間別の燃費を以下の表に示す。これはセンタディスプレイに燃費モニターを表示させておき、各値を読み取ったものである。以下の表中、区間燃費とはマツダコネクトの取扱説明書の【燃費モニター】の項目中で平均燃費(今回)の値を指す。これはエンジンを始動してから停止するまでの燃費である。また、トリップリセット後の燃費とは燃費モニターで燃費履歴(リセット毎)の現在の値を指す。道路はその区間が一般道か高速道路の区別を示す。厳密にはつくば牛久IC とイオンモールつくばまたはホテル間は一般道だが、短距離なので高速道路に含めた。試乗の始め頃にはあまり燃費モニターを見ていなかったので、値が無かったり小数点以下の数字を記録できていない。R461 走行時にふと燃費モニターを見てみると意外な数字が表示されていたので、これ以降記録することにした。花貫物産センターから折橋までは信号が無い普通のワインディングで、前を走る車も居なかったからペース一定で走行すると結構燃費が良いことが分かる。折橋から那珂IC 入口までの R349 は地方の幹線国道で元々流れも良いし、日曜日の夕方だから車もまばらだった。常磐道に入って合流するまでに区間燃費の表示値がみるみる下がるのが分かったが、巡行するようになってじわじわと値が回復した。つくばJCT までの区間は今回の試乗ルートの内でも勾配の変化が少ないから区間燃費もさほど低下しなかったと思われる。これ以降高速道路区間での燃費は伸び悩んでいるが、降雨と勾配の変化が影響しているように思える。サンルーフ装着車は若干値が劣るとはいえ、カタログの WLTC高速道路モード値である 19.8 を上回る値となったのはびっくりした。今回は特に省燃費運転を心掛けたわけではないものの、急加速、急減速を避け、i-DM でホワイトランプの点灯しない運転を心掛けた。鉾田IC 以降は一般道で更に昼食以降は R6 で WLTC市街地モード値である 15.5 を上回っている。高速道路 260km、一般道 141km 走行して全体の燃費が 21.1 とWLTCモード値 18.1 に対して非常に優れた燃費を記録した。この様子だとマイルドハイブリッドモデルの燃費も期待できる。
場所 | ODO km | 区間距離 km | 道路 | 区間燃費 km / L | トリップリセット後の 燃費 km / L |
北関東マツダ日立店 | 2536 | - | 一般道 | - | - |
エネオス ドクタードライブ日立中央SS | 2542 | 6 | 一般道 | - | - |
花貫物産センター | 2569 | 27 | 一般道 | - | - |
那珂IC 入口 | 2617 | 48 | 一般道 | 26 | - |
イオンモールつくば | 2679 | 62 | 高速道路 | 25 | 21.1 |
ホテルニューたかはし高野台 | 2683 | 4 | 一般道 | - | - |
羽生PA | 2757 | 74 | 高速道路 | 22.5 | 21.6 |
笠間PA | 2849 | 92 | 高速道路 | 21.6 | - |
鉾田IC 出口 | 2881 | 32 | 一般道 | 22.2 | - |
幸楽苑水戸住吉店 | 2907 | 26 | 一般道 | 21.3 | 21.5 |
北関東マツダひたちなか田彦店 | 2918 | 11 | 一般道 | 16.4 | 21.4 |
北関東マツダ日立店 | 2937 | 19 | 一般道 | 16.8 | 21.1 |
CX-80 XD L Package 2WD に延べ 7.7時間運転した感想をまとめると以下のようである。各運転操作に対する応答はいかにも最近のマツダの車両らしいのだが、何となくゆっくりしているように感じた。高速道路で安定感が目立った割には、ワインディングでは俊敏とは言えなくてもかったるい動きは無かった。主にその大柄な車体から想像できるように長距離をゆったり走るのに向いていると思った。サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、同形式の CX-60 が発売された直後には路面からの突き上げが指摘され CX-80 ではそれが解消されたという噂だが、今回の試乗でもそのような挙動は感じられなかった。むしろ、路面の段差での振動をドライバーに程良く伝える方が良いのではないかと考えているが、同乗者が居る場合には不快に感じるものなのかも知れない。「マツダCX-80のすべて」によると、キビキビ動かす方法で仕立てると、限界領域ではしっぺ返しが大きくなってしまう。そのため、穏やかな動きになるように仕立てることにした、とあるのが編者の感じた挙動の説明なのだろう。トルコンレス8ATは変速していることを意識させないスムーズな印象で、ギクシャクすることも無い。段数の増加と湿式多板クラッチが燃費の改善に貢献していると考える。3.3L のディーゼルエンジンは最大出力もトルクも 2.2L に比較して大幅に増したものではなく、これは NOx、 PM の低減と燃費を両立するために必要十分な動力性能を確保したためと理解する。実際に長期間使用しないと分からないが、圧縮比を 15.2 にしたことで、低温時のエンジンの始動性の改善と暖機運転時の燃焼の安定性向上が期待でき、DPF再生間隔が伸びることが予想される。エンジンの改良技術に関しては「2022年のマツダ技報」に詳しい説明がある。エンジンや車体各部が発するノイズ等に対する遮音性は素晴らしく、各種振動も伝わってこない。外観に関してはそもそも SUV というジャンル自体に興味が無いのでスタイル全体に対してコメント出来ないが、クォーターウィンドウの下部が水平になっているのは開放感があって良いと思う。BK型AXELA 以降、おそらく Dピラー周りの剛性と強度の確保のためにクォーターウィンドウ下部が後ろに向かって上に伸び上がるデザインが続いており、これによって後部座席の視界を狭くし開放感が失われてきたので、この変更は CX-80 の性格に合っていると考える。内装はレザーを多用していることもあって高級感がある。収納スペースも多く、各スイッチ類の操作性に優れる。グレードにもよるが 2列目シートが電動、ヒーター、ベンチレーションの設定があったり、各列シートにUSB電源、カップホルダーの設置等、乗員全員が快適になるように装備されている。内装の色も装備と併せていくつか設定されているので、どのグレードを選択するかは悩むことになるだろう。
今回試乗の機会を提供してくれたマツダと試乗の際お世話になった北関東マツダ日立店とひたちなか田彦店の各位に対し感謝する。
以上の内容は以下の情報を参考にした。
- CX-60 主要諸元・装備
- CX-80 主要諸元・装備
- CX-80 GRADE CHART
- CX-80 取扱説明書(SKYACTIV-D / e-SKYACTIV D)
- マツダコネクト取扱説明書
- i-ACTIVSENSE
- ナッパレザーとは、どのようなレザーですか?素材、丈夫さ、お手入れ方法を教えてください。
- マツダ ニュースリリース 2017.9.14 新型3列シートクロスオーバーSUV「マツダ CX-8」の予約受注を開始
- マツダ ニュースリリース 2022.6.22 「MAZDA CX-60」の予約受注を開始
- マツダ ニュースリリース 2024.10.10 「MAZDA CX-80」の販売を開始
- 2017.9.14 新型マツダ「CX-8」 新型「マツダ CX-8」広報資料
- 2019.10.23 MAZDA CX-8 2019年商品改良 MAZDA CX-8 2019商品改良 広報資料
- 2022.6.22 MAZDA CX-60 広報資料(2022年8月現在)
- 2024.10.10 MAZDA CX-80 広報資料
- マツダ技報 No.39(2022) SKYACTIV D 3.3 の開発—軽量で低燃費,低振動,高信頼性を両立した直列 6気筒構造系技術—
- マツダ技報 No.39(2022) 新型8速 自動変速機の紹介
- ニューモデル速報 Vol.643 マツダCX-80のすべて 発売日 2024/11/8
- 【マツダ CX-60】なぜ今、3.3リットルの大排気量? マツダが示す内燃機関の新たな活路と「税金の課題」 | レスポンス(Response.jp)
以上の画像は全て PENTAX K-1 Ⅱ に HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR を装着し、35ミリフルサイズ M:22M(5760 × 3840)で撮影したものである。IrfanView を用いて 300 × 200 に縮小したものを表示し、クリックして大きなサイズで表示されるのは 2880 × 1920 に縮小したものである。
移動軌跡(クリックするとPNG形式で拡大)
画像は山旅倶楽部の地図を使用