準備
5ちゃんねるバイク板の「【YAMAHA】DTシリーズ総合情報交換スレ22【傑作】」のスレッドで DT200WR のキャリパーのスライドピンについて2021年10月頃に話題となった。詳細は 832 から始まる内容を読んで欲しい。そこでスズキの 1992年式 RM125 のスライドピン互換の可能性を知った。RM125 のパーツリストと TT250R のサービスマニュアルを見比べると構造が似ているし、サードパーティー製のブレーキパッドの品番が同じである。そこで編者は RM125 1993 (P) USA (E03) のパーツリストを元に各部品を購入した。各画像をクリックすると拡大する。
このページを書き始めてから Tottaly TTRs のショップでスライドピンとブーツにヤマハの部品番号があることを知った。その情報を元に調査を続ける予定である。それらの情報を以下に示す。これによるとヤマハではフロント下側とリア後側のスライドピンは同じ部品番号である。そこでスズキでもフロントとリアで同じ部品番号であるスライドピンを追加で購入した。
スライドピンの場所 最初に購入した
スズキパーツ番号追加で購入した
スズキパーツ番号Tottaly TTRsによる
ヤマハパーツ番号フロント 上側 59387-00B20 - 3JD-25926-00 フロント 下側 59382-13A00 59382-27C30 3SP-25914-51 リア 前側 59305-27C00 - 3SP-25926-51 リア 後側 59382-14500 59382-27C30 3SP-25914-51 なお、本ページに掲載されている内容は各メーカの保証対象外の行為であることを承知の上、各位の自己責任で利用されたい。各メーカへの問合せも厳禁である。本ページの内容によって各位が受けたトラブルなどに対し編者は一切責任を負わない。
フロントブレーキキャリパー
フロントブレーキキャリパー上側の部品番号 59387-00B20 のスライドピンと TT-R250 のスライドピンである。このスライドピンはキャリパーサポートに差し込み、ナットで固定するようになっている。ナットは外すことが出来たが、Dカットされたピンがキャリパーサポートに食い込んで編者の技量では外すことが出来なかった。外したナットは購入したスライドピンにねじ込めた。ナット脱着には 6mm のヘックスレンチが必要である。
フロントブレーキキャリパー下側の部品番号 59382-13A00 のスライドピンと TT-R250 のスライドピンである。このスライドピンはキャリパーサポートから外すことが出来た。ワッシャはスプリングワッシャのように見える。スライドピン脱着には 12mm のメガネレンチが必要である。
写真左からスズキの部品番号 59382-13A00、59382-14500、59382-27C30 のスライドピンと TT-R250 のスライドピンである。59382-27C30 は黒色の表面処理で TT-R250 のものと同じように見える。 59382-13A00 と 59382-27C30 は TT-R250 のものと長さが同じに見える。59382-14500 だけはスライド部分とネジ部が共にわずかに長い。黒色の表面処理が何であるかわからないが、TT-R250 のブレーキキャリパーに用いるには 59382-27C30 が妥当と考える。
リアブレーキキャリパー
リアブレーキキャリパー前側の部品番号 59305-27C00 のスライドピンと TT-R250 のスライドピンである。このスライドピンはキャリパーサポートから編者の技量では外すことは出来なかった。スライドピン脱着には 5mm のヘックスレンチが必要である。表面処理も長さも同じに見える。
リアブレーキキャリパー後側の部品番号 59382-14500 のスライドピンと TT-R250 のスライドピンである。このスライドピンはキャリパーから編者の技量では外すことは出来なかった。スライドピン脱着には 12mm のメガネレンチが必要である。この写真を撮影した際は気付かなかったが、長さが異なっているように見える。追加で購入した 59382-27C30 については、フロントブレーキキャリパーの項目に比較写真を掲載した。リアについても 59382-27C30 が妥当と考える。
その他とまとめ
その他のブレーキキャリパー関係について調べた結果を以下に記す。スズキのパーツリストではフロント下側スライドピン用のワッシャーは2種類あり、片方にはウェーブワッシャーと記してある。ヤマハとスズキの各ブーツ、ワッシャーを購入し、比較した。
ここまで書いてきて、ヤマハの部品情報検索で TT250R の各ブーツの部品番号が設定されていることに気付いた。
部品 スズキパーツ番号 Tottaly TTRsによる
ヤマハパーツ番号フロント 上側又は、リア 前側スライドピン用ブーツ 59303-14500 3JD-25917-00 フロント 下側又は、リア 後側スライドピン用ブーツ 59386-13A00 1UY-25937-51 フロント 上側スライドピン用ナット 59388-00B20 3JD-25961-00 フロント 下側スライドピン用ワッシャー 59314-13A00(ウェーブ)、59314-27C30 - 写真の左側がスズキの、右側がヤマハの、それぞれ上側がフロント上側の、下側がフロント下側のスライドピン用のブーツである。当然のことながら、両者に差異は無い。ワッシャーの写真は掲載しないが、 59314-27C30 が通常のワッシャー、59314-13A00 がスプリングワッシャーであった。59314-13A00 が TT-R250 に装着されているのと同等のワッシャーと思われる。
キャリパー本体はニッシン製であり、ヤマハもスズキも部品を在庫し販売しているだけである。他車種で同種のキャリパーを採用し個別の部品を購入可能なものもあるかも知れない。これを執筆している2021年11月現在の各部品は 3JD-25926-00 を除き概してスズキがやや安価だった。実際に部品を交換していないが、各部品の使用に問題はなさそうである。キャリパーにスライドピンが固着した状況では、スライドピンだけではなくキャリパー本体の損傷が懸念される。そのような場合、スライドピンのみ交換するよりかはキャリパーアッセンブリで交換する方が安全側と思う。程度問題だが、研磨等で修復できればそれに越したことはない。以前スライドピンが固着して途方に暮れたことがあったので、スライドピンにグリースを切らさないように注意している。しかしながら過度のグリースは禁物で、多過ぎると内部の空気の逃げ場が無くなりスライドを妨げたり、真空状態になりブーツが正常に変形できず、かえって水の浸入を許す状況となる。グリースを塗布する際は、ブーツが硬化していたり破れはないか、ブーツがきちんとはまっているか、スライドはスムースか、など確認すべきだろう。