はじめに
バイクに GARMIN GPS Ⅲ+ を搭載して地図表示をするのに初めは HP200LX を使用していたが、データのアップロード・ダウンロードに手間を感じ、CASIO A-60 の使用に切り替えていた。日中の使用では、A-60の白黒のハーフVGAは視認性に優れており、キーボード操作も容易で、パワーデータケーブルもライトスタッフで安価に入手でき(A-60 側のコネクタも入手可能なので自作も容易)、バイクで使用する場合には A-60 がベストと考えていた。
しかし、バイクで走行中は A-60 をショルダーバッグで携帯しているが転倒を考えると不安があった。また、ロガーとしての使用も考えて、Palm-size PC の導入を検討した。CASIO の E-507 を使用することもあるのだが、美しい透過型 TFT 液晶は日中ではほとんど見えず、またバッテリの持ちも悪いので、バイクで携帯して使用するには今一つと思われた。2001年10月に安売りの CASIO の E-65 を見つけたので早速購入した。
さて、バイクに搭載して使用するにはパワーデータケーブルを自作しなくてはならない。以下に示す参照したページにあるように GARMIN 側は RS232C 規格の信号であり、E-65 側は LVTTL 規格であるからコンバータが必要となる。本ページはパワーデータケーブルを自作した際の記録である。
なお、本ページに掲載されている内容は各メーカの保証対象外の行為であることを承知の上、各位の自己責任で利用されたい。本ページの内容によって各位が受けたトラブルなどに対し編者は一切責任を負わない。
《注》 単に E-65 と GARMIN を接続するだけのケーブルならば、ライトスタッフで、GE-700 もしくは EE-700 という名称のケーブルを販売している。この場合、専用コネクタを別途購入する必要すらない。また、ライトスタッフの良くある質問とその回答の該当ケーブルの回答は内容が更新されていないだけで、実際にはケーブルを販売している。(2005/05/15追記)
参照したページ
パワーデータケーブルの自作にあたって、以下に掲載するページを参照した。ページ作成者各位に感謝する。また、ライトスタッフのページ内のなんでも掲示板の情報も大変役に立った。半田鍍金さんのページに掲載されているコンバータの回路図は全てのページで参照されているので必ず見る必要があるだろう。
半田鍍金さんのページ http://www.asahi-net.or.jp/~XS4T-MTYS/ 中澤和夫さんのページ 実験コーナー http://www.valley.ne.jp/~kazuo/gps/test_index/test_index.htm RS2332<->TTLコンバータを作る http://www.valley.ne.jp/~kazuo/gps/test_index/rs323c/rs232c.htm WindowsCE用(E-55)GARMINデータケーブル製作 http://www.valley.ne.jp/~kazuo/gps/test_index/garmapce/e55cable/e55cable.htm Nori-chan さんのページ CASSIOPEIA for DoCoMo で GPS ナビ http://www.ne.jp/asahi/gps/nori/Other/E-55/E-55.html 佐藤正昭さんのページ WinCEマシンでGPS http://masaaki.sato.nakano.tokyo.jp/gps/wince/wince.html 部品の入手
RS232C と TTL のコンバータ用の IC を入手が一番の難関である。調べてみると以下のような選択肢があった。
IC ピンのピッチ MAX3232CPE 2.54 MAX3232CSE 1.27 MAX3221CAE 0.64 上記ページでは全てピンのピッチ 0.64 の MAX3221CAE を使用している。編者のはんだ付け技術を考えてピンのピッチ 2.54 の MAX3232CPE を使用することにして、株式会社システムプロデューサアソシエイツから通販で購入した。回路に必要なコンデンサー(積層セラミックコンデンサー)も付属していた。基本的な回路図は MAXIM 社のページで確認した。
E-65 側のコネクタは、E-65 本体に付属していた携帯電話接続ケーブル (JK-510CA) を、GARMIN 側のコネクタは、以前ライトスタッフより購入した PC接続ケーブルを、それぞれ使用した。コンバータの回路をユニバーサル基板上に作成し、市販の単4電池2本用の携帯ケースに収めることにした。
組み立て
単4電池2本用の携帯ケースにちょうど収まる基板の大きさを求め、そのサイズの実体配線図を作成した。コンバータの回路の実体配線図を右図に示す。画像をクリックすると大きい画像を見ることができる。この回路は部品側から見た図である。中澤和夫さんの RS2332<->TTLコンバータを作るのページにあるように使用しない入力ピンはグランドした。図中横長の太い線が 2 個ずつ 3組あるが、それぞれ GARMIN 側のケーブル、 E-65 側のケーブル、電源ケーブルをタイラップで固定するための孔である。
まず、ユニバーサル基板を切断し、ケーブル固定用のタイラップを通す孔を開けた。次に回路図通りコンデンサー、抵抗、IC を順に取付けた。単4電池2本用の携帯ケース内は余裕があり、かなりゆったりと部品を配置できるので、組み立ても楽であった。
携帯電話接続ケーブルはコネクタの全ピンに結線されていない。IC に電圧を供給するためにはコネクタを分解して、配線をやり直す必要がある。コネクタケースの合わせ面をカッターを用いて慎重に分解した。ケーブル側から順に刃を入れるとやり易かった。コネクタケースを分解すると金属板が 2 枚組み合わさっているので、それを外すとコネクタのピンが現れる。モールドには 1 番ピンと 20 番ピンを示す刻印がある。数字が正常に見えるようにして、右下が 1番ピン、左上が 20 番ピンである。それぞれ必要なピンにリード線をはんだ付けした。GARMIN 側のコネクタはライトスタッフ製のモールドタイプであり、ピンとリード線の対応を間違えないようにはんだ付けした。
リード線の色 GARMIN 側
コネクタケーブルE-65 側
コネクタケーブル白 IN 12 pin 緑 OUT 11 pin 黒 - 3, 4, 5, 6 pin 赤 + 19 pin はんだ付けが完了したら、ショートしているところがないか、配線が間違っていないか確認をした。更に GARMIN 側のコネクタと E-65 側のコネクタを接続したところで GarmapCE を用いて一旦動作検証を行った。更に電源ケーブルをはんだ付けしたコンバーター回路の拡大図を上に示す。MAX3232CPE のパッケージの文字が正立してみえるようにおいたので、実体配線図とは上下が逆なので注意のこと。また、今回作成したパワーデータケーブルの全体図を左に示す。電源ケーブルの途中に見える透明の箱はヒューズボックスである。
この状態でバイクの電源にケーブルを接続し動作を確認した。次にコンバーター回路をエポキシ接着剤で固め、単4電池2本用の携帯ケース内に収まるようにケーブルの通る孔をケースに開けた。コンバーター回路をケースに収め、更に全体に自己融着テープを巻き付けた。
バイクでの使用例
E-65 の電源は単4型乾電池なので、連続使用には電池の持ちに不安がある。GarmapCE を用いてトラックログをダウンロードした場合、アルカリ乾電池では延べの使用時間はそれほどでもないにも関わらず、電源電圧が低下した旨の警告表示がすぐ出るようになった。そこで市販のニッケル水素電池(Panasonic製 HHR-4GPS)を用いて連続使用したところ4時間程度は充分電池は持っているようである。E-65 はアイドル状態が続くと自動的にサスペンドするので、Tillanosoft さんの PalmTweak を用いてサスペンドしないように設定した。
電源断の不安を感じながら走行するのは本末転倒なのでバイクのバッテリーから電源を供給することにした。DC-DCコンバータはイーター電気工業株式会社の OES 05SC 1224 を用いた。これは入力電圧範囲が 8~32V と広いのが特徴である。E-65 の ACアダプターの出力は 5V2A であるので 10W 出力のものを選択したが、E-65 の消費電力はもっと小さいから容量には余裕がある。この DC-DCコンバータは入出力間絶縁型であるが、WWW の情報では三端子型レギュレータを用いている方もいるようだ。DC-DCコンバータについては使用上の注意を読まれたい。上の写真は TT250R で実際に使用している状態である。ラフ&ロード社製のツインPASポーチ(RRー5693)本体に E-65 を、手前の携帯電話ホルダーに DC-DCコンバータを内蔵した電源部をそれぞれ収納している。電源部は左の写真のように 65 x 50 x 20 mm のケース(TAKACHI YM-65)に自己融着テープを巻き付けている。
使用ソフトは A-60 の場合と同じように GarmapCE を主に使用している。メニューの [GPS] [Navigation] を選択すれば現在位置を表示しながらロギングできる。ログの保存はメニューの [File] [Save As] である。ただし、この場合高度情報は保存されないので、高度情報が必要な場合は NMEA Monitor CE を使用すれば良い。勿論 Garmin 側で NMEA を出力するように設定する必要がある。ロギングは開始時にメニューの [File] [Save As] で適当なファイル名を付けておき、終了時にメニューの [File] [Stop Saving] を選択すれば良い。ただし NMEA 出力の場合にはファイルサイズが大きくなってしまう( 1時間当たり 1MB 程度)のでストレージの残容量を確認しておく必要がある。
- DC-DCコンバータ使用上の注意
本ページの内容について下記のような指摘を受けた。
電源供給でDC/DCコンバータを積んでると思いますが、車とかバイクはオルタネータ等で発電しているものは電源ラインに急峻なサージ電圧が発生し電源が破損することがよくあります。通常はJASOという規格がありサージ電圧(ロードダンプサージ試験)の試験項目があり最大で140v程度までの試験を要求されています。ってことは140V程度dc/dcにかかるモードが発生してもおかしくないってことなんですよ。
ランプ等はサージ電圧が印可されても実効電圧がDC12Vであればとくに壊れたりはしませんが、D/Dコン等の場合には内部で使用している部品が一瞬でも過大サージが印可された場合破損に至るケースが頻繁にあります。
これを防ぐにはDC/DCの全段(±間に)ロードダンプサージ保護用の専用のツェナーダイオードをつける場合がほとんどです。(サージエネルギーが非常に大きいので通常のツェナーダイオードでは破損します)
一般に入手できるか解りませんが、一番入手しやすいかな?って思われるのは東芝の5Z27(5Z30)とかが一般的です。(ただしDC12v系バッテリー使用時です。24V系バッテリーの場合にはこのツェナーを2個直列に挿入します)
通常の市販メーカー品電源(dc/dc)は特に車関係の対応はどのメーカーも行っていません。
これについて gigo さんの掲示板で質問したところ、gigo さんより以下のようなご意見を頂いた。
車の場合、今はECUが搭載されていてこれが飛んでは大変なのでオルタネータの端子に近いところにサージ吸収用のZDiとコンデンサ(ノイズ対策)がついていますし、そうでなくてもひとつでもカーステレオのような弱電機器があればその中にサージ対策が入っているはずでそれとパラレル接続になるのでそれほど神経質になる必要は無いと思っています。
実際、ZDiがパンクするほどのサージを受けたらそこらのカーショップで売っている何の対策も無いアクセサリなど一瞬で吹っ飛んでしまうはずですからそれが無事ならまぁ問題ないでしょう。
高周波ノイズの侵入だと機器ごとに対策しないと駄目でこれでレギュレータは無事なのにその先のICがパンクしたというのは10年ほど昔に経験しました。
ECUも弱電の電装もないバイクだとちょっと危険かも知れませんね。
( 2002/11/07(Thu) 23:40 )
サージ対策もですが、逆流防止も重要です。一次側にDiを入れるのが簡単で良いでしょう。後、DC-DCの入っている複数の機器を繋ぐときはアース電位も要注意です。sanさんがしているように絶縁型のDC-DCにするのが最も安全なのですが..
( 2002/12/04(Wed) 23:40 )
DC-DCコンバータをバイクや車で使用する場合には、各位で充分検討を行って欲しい。
- DC-DCコンバータ使用上の注意