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i-DM

このページでは i-DM について説明する。グレー背景となっている箇所は各文献からの引用を示す。


  1. 統一感あるドライビングフィール

    一時期、マツダは「統一感あるドライビングフィール」を掲げて運転操作のし易さをアピールしていた。いや、これを書いている 2024年現在でも「統一感」という言葉を使わないで宣伝しているだけで車造りのコンセプト自体は変わらないのだと思う。AXELA (BL) がマイナーチェンジしていわゆる SKYACTIV TECHNOLOGY を導入し始めた頃に店頭で見かけた文字列と記憶していたが、検索するとマツダ技報で PREMACY(CW) の「統一感開発プロセス(1)」を説明していることが分かった。このマツダ技報では「ドライビングフィール」ではなく「ダイナミックフィール」という言葉を用いており、「車の運動」を統一するように開発した、と読める。最後のまとめを引用すると以下のようである。

    新型プレマシーは「ダイナミックフィールの統一感」を開発コンセプトとし,G-Gダイアグラム等の定量的な指標を用いて目標を設定と開発を行った。その結果,操作系のフィードバック特性とGの過渡応答性を改善し,ミニバントップレベルのGのつながりの良さを実現,リニアフィールの向上を達成した。

    「G-Gダイアグラム」とは前後及び横方向のGをX-Y座標にリサージュ図形として表したものである。「統一感ある」の英訳である「harmonized」には、日本語とは少し異なるニュアンスを感じる。更にニュースリリースを検索した所、以下の通りである。まず、PREMACY(CW) のニュースリリース(2)では

    アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作感を統一し、走行時のクルマの動きや走行感覚の滑らかさを実現

    DEMIO (DE) のマイナーチェンジモデルのニュースリリース(3)では

    ドライバーの「走る・曲がる・止まる」のどの操作に対しても、車の動きがなめらかで連続してリニアに感じられる「統一感」のあるドライビングフィールを実現

    AXELA (BL) のマイナーチェンジモデルのニュースリリース(4)では

    運転操作に対して車がリニアに反応する、ドライバーとクルマとの一体感が途切れない、「統一感」のあるドライビングフィールを実現

    となっていて、説明文中にどれも「統一」という文字列が見えるが、少しずつ表現が異なる(太字は編者)。車の運動を可視化するために後の項目にある i-DM が搭載され、この後に i-DMによるスコアをユーザー間で競い合う JAPAN DRIVE Fest(5) が実施された。これ以降、「統一感ある」という言葉を聞かなくなったように思うし、改めてニュースリリースを眺めてもこの文字列は見つからない。ITmedia ビジネスオンラインのアクセラの担当主査へのインタビュー記事(6)では

    ドライビング操作の「統一感」というものを重視したクルマ作りを行っています。統一感とはつまり、走る・曲がる・止まるがきれいにつながった操作感のことを意味しています

    結局の所、既存の言葉である「人馬一体」を具現化するために、車の運動が滑らかになるようにリニアな操作系の統一を追求した、ということだろうか。実際、2024年1月現在でマツダのWWWページにおいて「クルマづくり」「ダイナミクス」(7)と辿っていくと「人馬一体」とか「人間中心」という言葉が出てくる。当時先に説明したマツダ技報等を読まなかったし、AXELA (BL) に乗っていた頃に DEMIO (DE) のマイナーチェンジモデルに試乗した時には、前者がちょっとしかアクセルを踏んでいないのにエンジンの回転数が上がるのに対して、後者はアクセルの踏み加減とエンジンの回転数がリニアに対応したぐらいしか違いが分からなかったので編者の中では長年「統一感あるドライビングフィール」とは何だろうか、という疑問だけが残った。これはいくら試乗しても分からなかったが、MAZDA2 を購入し、しばらく走ってからようやく「統一感」の意味を体感できたので、このページにまとめようと思った。このページをまとめる過程で検索して参考ページを読み、考えたことを以下に示す。

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  2. i-DM

    i-DM とは intelligent Drive Master の略で、詳細は MAZDA BLOG 2017.10.31(8) に説明がある。この説明は先にあげた DEMIO (DE) や AXELA (BL) より後のモデルに搭載された i-DM に関するもので、初期の i-DM の機能とは異なる。編者の MAZDA2(DJ5FS) の場合、2021年6月~p152以降マツダコネクトの説明書2022 年9月(1版)p2-2以降に説明がある。これ以降のモデルではマツダコネクトのバージョンアップに伴い、センターディスプレイでの細部の表記が異なったり、メーターパネル内の表示が異なる。初期の i-DM の表示に関しては各車種の取扱説明書に図がある。DEMIO (DE) の場合、2011年6月~2014年8月p101以降にあるようにメーターパネル内右側に液晶パネルでグリーン、ブルー、ホワイトのランプとゲージ、更に状況に応じてスコア、ステージ、ワンポイントアドバイスが表示されるようになっていた。AXELA (BL) の場合、2011年9月~2013年10月p117以降にあるようにメーターパネル内右側に液晶パネルでグリーン、ブルー、ホワイトのランプとゲージが表示され、メータパネルとは別にマルチインフォメーションディスプレイにスコア、ステージ、ワンポイントアドバイスが表示されるようになっていた。これらの表示変更理由は先に示した MAZDA BLOG 2017.10.31(8) 内の PDF に説明があり、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)コンセプトによる安全思想の現れに依るものである。編者が所有する i-DM が搭載された車両は MAZDA2 からなので、初期の大きなゲージが搭載された車両は試乗でしか知らないが、現状のメーターパネル内にグリーン、ブルー、ホワイトの小さなランプが表示されるだけでその他の詳細な情報はセンターディスプレイに表示される形式は運転時の注意が散漫にならず、使い勝手が良い。各車種の表示方式に関しては MAZDA NEWSROOM の車種情報(過去車種)で該当車種、年式の広報資料を検索すると詳細な説明図がある。

    さて、MAZDA BLOG 2017.10.31(8) 内に説明があるように i-DM の目的は運転の楽しさを実感していただくことであり、i-DM 自体はドライバーの運転操作をランプの色で可視化し、スコアとして定量化して、ドライバーの意のままに操ることが出来たかドライバーにフィードバックする機能と言えるだろう。運転操作を定量化することは容易では無く、「ドライブの楽しさが深まるインテリジェント・ドライブ・マスター (i-DM) 虎の巻(8)」内にその説明がある。この PDF にグラフはあるものの数字が示す値に関して説明がなく、マツダ技報の「インテリジェント ドライブ マスタ(i-DM)の概要(9)」において、前後、左右方向の加速度の微分値である躍度を用いていることが分かる。躍度を求めるには Gセンサではなく、車速センサとハンドル舵角センサの信号を用いている。これは Gセンサ信号はノイズが大きいこと及び運転操作に関係のない路面状況が起因する加速度変化も検知するからで、実際には躍度指標としてセンサの値を二階微分したうえで,ノイズ除去及び躍度発生が相対的に見えやすくする独自の処理を施して表示している。このマツダ技報にあるように、加速度変化の滑らかさとある閾値を越えた加速度の絶対値を維持した時間の二つの指標を用いてスコア化している。具体的なスコア化方法については MAZDA BLOG 2017.10.31 内の PDF である「ドライブの楽しさが深まるインテリジェント・ドライブ・マスター (i-DM) 虎の巻(8)」に詳細な説明がある。

    編者の MAZDA2(DJ5FS) の取扱説明書から抜粋すると各ランプの意味は以下の通りである。即ち、グリーンランプはやさしい運転、ブルーランプはしなやかな運転、ホワイトランプは体が揺れる運転を示す。これだけでは意味が良く分からないが、説明書にはどのような運転をした時に各ランプが点灯するか説明があり、先に示した虎の巻には判定基準が掲載されている。グリーンランプは加点も減点もされないが、ブルーランプは加点、ホワイトランプは減点される。更に判定には運転操作の頻度が用いられる。短時間に同じ操作を繰り返し行った場合に、その周期をカウントすることで「繰り返し操作」の判定を行っているのはスコアにのみ結果が反映され、何が加点されるまたは減点される操作だったかユーザーには分かり難い。とはいうものの、これらの表示とエンディング表示のワンポイントアドバイスを参考に自身の運転操作の見直しを続けていけば徐々にしなやかな運転操作が身に付くように創ったのだと思う。先に運転操作の可視化と定量化と書いたが、荷重移動の可視化と定量化と言い換えても良いと思う。

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  3. 練習

    i-DM はステージがあり、スコアが向上すると次のステージが出現する。デフォルトでは 3rd ステージが上限だが、ディーラーで上限を 5th ステージに変更したり、1st ステージに戻すことができる。編者が i-DM のスコアを意識し出したのは納車されて 1年近く経ってからで、その時は 2nd ステージだった。市街地を走行してホワイトランプが点灯し、ワインディングを走行してスコアが 2点台となるのは当たり前だった。未熟さを感じて自分の運転を見直した所、発進時とコーナー立ち上がり時のアクセル踏み始め、ブレーキをリリースした直後にホワイトランプが点灯する頻度が高かった。アクセルの踏み始めとブレーキのリリースが乱暴だと思い、練習を重ねた所ホワイトランプの点灯が減ってきた。ただ、発進時のホワイトランプ点灯に関しては良く理解できないところがある。ワインディングでペースを落とし気味で走行するとスコアの向上が見られ、要するにアクセル、ブレーキ、ステアリングを丁寧に操作するという基本に立ち返ることの大事さを改めて認識した。また、編者は一般道でも高速道路でも 2時間ごとに休憩を入れる癖があり、1時間を過ぎるとホワイトランプ点灯が増える事、その日の走り始めにホワイトランプが点灯し易い事、ステアリング操作の場合、ワインディングではホワイトランプもブルーランプも点灯しない割りに、市街地の交差点ではホワイトランプが点灯し易い事等が分かった。最初の頃はブルーランプの点灯する操作が具体的に何であるか分からなかったが、発進時に点灯した際にはそのままアクセルを踏み続けるとブルーランプの点灯が続くことが多くなった。また、ブレーキではやや強めに踏んだ際ブルーランプが点灯するが、リリースが急だとホワイトランプが点灯することがあり、じわっと戻すようになった。強めのブレーキ操作の場合、停止したい場所よりかなり手前になることが多く、後続車両への配慮が必要である。ステアリング操作では市街地にある大して速度も出ていない小さな S字の進入時にブルーランプが点灯することが多く、舵角を維持しているとブルーランプの点灯が続く。どの操作においてもやや強めに操作した(アクセルで言えば大きく踏み込む)時にブルーランプが点灯し易いが、練習を続けていく内に市街地の交差点の曲がり始めや、停止寸前の速度からのブレーキでもブルーランプが点灯するようになり、加速度の絶対値が低くてもブルーランプが点灯することが分かった。丁寧な操作を続けている内にどんな加速度でも対応できるようになるのだろうか。

    なまじスコアとステージがあるがために i-DM を「攻略」するという発想が生まれる。実際これらの単語をキーワードにして検索すると、それらしい解説が見つかるが如何に加点し如何に減点されないかという説明に終始し、何が求められる操作なのか分からないページが多い。そんな中見つけたタッチ_氏のブログ(10)には i-DM活用術と攻略法が述べられている。タッチ_氏のブログは膨大なコンテンツから成り編者は i-DM 関係のコンテンツはざっと読んだが、丁寧に色々説明してあり、先に示した虎の巻(8)が公開されるより前にスコアの計算方法について考察しているのは素晴らしい。i-DM だけでなく、iOS アプリの G-Bowlアプリを用いて走行中の加速度を可視化して記録することで練習が効果的になるよう工夫しており、活用術を書いてから攻略法を書き直したあたりにタッチ_氏の苦悩が伺える。参考ページにはそれらのページへのリンクを纏めたページを示した。また、紆余曲折あって「インテリジェント・ドライブ・マイスターズ(i-DMs)メンバーのページ(10)」を新設し、i-DM に関する情報はこちらのブログにまとめる方針と思われる。メンバー限定のコンテンツはこちらのブログにあるが、メンバー限定ではないページの内「運転の基礎知識」なるコンテンツは勉強になる。これらを読むと色々イベントを開催し、i-DM の活用を拡げる活動をしていて、イベントに参加した方の感想は【i-DMs】オフミ初参加者の感想ブログ集にまとめられている。また、マツダ関係者ともコンタクトしたそうである。タッチ_氏のブログ(10)を読んだだけでブルーランプが点灯する条件は身に付いていないが、今のは失敗した操作だなと思った時にはホワイトランプが点灯しており、ブルーランプ点灯にこだわらずホワイトランプが点灯しないような丁寧な操作を心掛けている。多分、更なる技術向上のためには加速度を可視化して練習することが必要なのだと思うが、ドライブレコーダー、レーダー探知機、走行ログ記録用の andoroid デバイスに加え、iOS デバイスを車内に設置するのに躊躇する。どのような技術の修得でも同じだと思うが、基礎的な訓練を繰り返すことが重要と思う。先のメンバー限定のコンテンツは読めないが、それ以外の部分に書いてある加速度の制限を掛けながら直角コーナーを繰り返し走行するのはバイクで 8の字を描く走行に通じる基礎的な練習である一方、ワインディングの走行は応用的だから、なかなか上達が遅いのだろう。それでもホワイトランプの点灯が減ることで滑らかな操作ができるようになったと実感している。

    さて、統一感あるドライビングフィールで書いた「統一感」の意味を体感できたのは i-DM のスコアを意識し出すよりもずっと前の納車後 2ヶ月程経った頃にワインディングを走行していた時である。極当たり前のことのようだが、運転の各操作の繋がりが良いと感じた。例えば、コーナーの進入時にブレーキが終わってステアリングを回し、脱出時にアクセルを踏む、その一連の動作が気持ち良く繋ってある種の爽快感があった。それからずいぶん経って i-DM に向き合うようになり再び「統一感」という言葉の意味を考えるようになった。そして検索して調べた結果が参考ページであり、改めて読み直すと既にマツダは言葉の意味をきちんと説明しており、i-DM に期待する意味が理解できた。その上で日々練習に励んでいるが、如何せん一度身に付いた悪い癖を直すのはなかなか骨が折れる。しかし、繋がりの良い操作性によって運転して楽しい車であることをますます実感した。そんなある日北関東マツダ日立店で編者の MAZDA2(DJ5FS) よりも設計の新しい車両の i-DM はどのような表示なのか知るために MAZDA3 FASTBACK XD Black Tone Edition(BP) に試乗した際、車両の色々な動きがより洗練されていることを感じた。丁寧な操作を身に付ける過程で車両の色々な動きを感じる力が増しているのではないかと思う。不思議なことにバイクでも細かい動きを感じられるようになった気もする。また、自分以外の周りの車両の動きを予測する運転がそれなりに出来ていると思っていたが、i-DM に触れるようになってまだまだ未熟であることを実感している。

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  4. 参考ページ

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