SKYACTIV-D
SKYACTIV TECHNOLOGY とはマツダの「クルマの基本を白紙に戻し、すべてをゼロからつくり直す」技術の総称である。エンジン、トランスミッション、ボディ、シャシー毎に名称が付けられ、SKYACTIV-D とは NOx後処理装置が不要のディーゼルエンジンを示す。排気ガス中に含まれる PM(Particulate Matter、煤粒子状物質) と NOx を減らすために低圧縮比にして、尿素SCRシステムを用いずに DPF(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子捕集フィルター) のみで規制をクリアした、というのが特徴である。
圧縮比が高いエンジンは燃費が良くなり、CO2排出量は抑えられる。しかし、空気過剰では排気ガス中に NOx が増える一方、空気不足では煤が増える。そこで、まず低圧縮比のエンジンにして空気と燃料が良く混ざるまで着火しないようにし、希薄化と低温燃焼を実現して NOx を減少することで高価な NOx後処理装置を不要とした。低圧縮な故にエンジン構造体の強度を下げられ軽量化もできた。各部品を軽量化したので、例えばピストンやクランクシャフトが軽くなって吹け上がりが軽くなり、より静粛で振動の少ないエンジンができたということらしい。圧縮比を下げたので気温が低い時にエンジンがかかりにくくなる、暖機運転の時に燃焼が不安定になることに対しては、燃焼燃料噴射装置の工夫、可変排気バルブ機構の採用で対処したとマツダは説明している。また、EGR(Exhaust Gas Recirculation、排出ガス再循環) 装置による排出ガスの一部を吸気系へ戻すことでも NOx の発生を抑制している。ターボチャージャーは低温燃焼による高熱効率とクリーン排気のために装備されている。他の排気量のSKYACTIV-D 1.5 が SKYACTIV-D 2.2 と異なるのはインタークーラーが空冷式ではなく水冷式を採用していることとターボチャージャーが2ステージ式ではなく可変ジオメトリーシングル式を採用していることである。
NOx は減らしたものの PM の問題は残るので、捕集した PM を DPF の温度を上げて燃やして除去 (DPF再生) する。これは定期的に実施するのではなく、ある程度 PM が堆積した時点で自動で実行される。取扱説明書の DPF の項目にあるように、車速約 15km/h 以下で走り続けているとき、10 分以下の短時間走行の繰り返しやエンジンが暖機できないような走行を繰り返したとき、長時間アイドリング状態のとき、は自動で除去できない。更に、自動で DPF再生できないときは DPF表示灯が点灯し、完全暖機 (水温 80℃以上) のときに、アクセルを踏み 20km/h 以上でおよそ 15分から 20分走行せよ、とある。
煤が溜まってエンジントラブルを起こした事例の原因は、DPF 以外にも吸気系に戻した排出ガスに含まれる煤 PM が吸気バルブやインジェクターに付着したことらしい。DPF再生が自動で実行できないような条件での走行を避け、せめて週一回程度はエンジンを回してやればトラブルを避けられるのではないかと思う。
取扱説明書のエンジンオイルの点検、補充の項目にあるようにガソリンエンジンとは異なり、オイルレベルゲージの上限の上に更に×マークが設定されている。これは DPF に堆積した PM が自動で除去されるとき、エンジンオイルに燃料が混ざるためとの説明がある。更に、オイル交換後にオイルデータリセットの必要がある。取扱説明書のエンジンオイルの項目にあるオイルとフィルターの交換時期はガソリンエンジンの 2/3 に設定されている。ディーゼルエンジンはオイルが劣化しやすいということだろう。取扱説明書のフューエルフィルターの項目には交換と水抜き時期が指示してある。燃料中の水分や汚れがインジェクターに悪影響を及ぼしやすいということか。取扱説明書の冷却水の項目によるとガソリンエンジンよりも冷却水量が多く、水冷式インタークーラーのための冷却水が必要である。DPF 再生について WWW 上で検索するとトラブルの事例が多く見つかる。今までのガソリンエンジンに比べるとメンテナンスに手間の掛かるエンジンのようだ。
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・以上の内容は以下の情報を参考にした。
・マツダ|スカイアクティブ テクノロジーの開発思想 -SKYACTIV TECHNOLOGY|ダイナミクス
・マツダ|MAZDAのクリーンディーゼルは進化をやめない。スカイアクティブ ディー -SKYACTIV-D|ダイナミクス
・マツダ技報 No.32(2015) 小排気量クリーンディーゼルエンジン SKYACTIV-D 1.5の開発
・MAZDA2取扱説明書
・CX-3、デミオ、アクセラのリコールについて
・クリーンディーゼル車(CDV) - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア
・世界最高水準の燃費と環境性能を持つクリーンディーゼルエンジン | NEDOプロジェクト実用化ドキュメント
・低圧縮比クリーンディーゼルエンジンの開発
・排出ガス低減技術の例
・【夏休み特別篇:第5話】DPFの再生について - 株式会社 アイ・アール・エス ~ インジェクタ再生洗浄サービス ~
SKYACTIV-DRIVE
SKYACTIV-DRIVE とは、走行状態のほぼ全域に渡りロックアップ領域を拡大させ、燃費改善とダイレクトなシフトフィールを実現したオートマチックトランスミッションである。マツダ技報によると、高車速、低車速での燃費、発進のし易さ、坂道の登り易さ、ダイレクト感、なめらかな変速の各性能において日本、欧州、北米の各市場で重要視される領域が異なり、日本市場で満たす性能は CVT(Continuously Variable Transmission) が、欧州市場で満たす性能は DCT(Dual Clutch Transmission) が、北米市場で満たす性能はステップAT がそれぞれ得意とされ、その全ての領域を満たすいいとこ取りのトランスミッションとして開発された。ステップAT は従来からあるトルクコンバーターと遊星歯車を用いたトランスミッションを指し、文献によっては Conventional AT とも書かれている。SKYACTIV-DRIVE はこのトルクコンバーターを用いたトランスミッションをベースにトルクコンバーターとロックアップクラッチの主従関係を逆転させたことで特にダイレクト感を向上させている。そのために以下の各4点が改良された。第一にトルクコンバーターのトーラス(流体継手)を小型化し、ロックアップクラッチと振動減衰ダンパーのスペースを確保した。第二にクラッチの冷却機能を高めて耐久向上を図るためにセグメントタイプの湿式多板クラッチを採用した。第三にクラッチのすべり量を緻密に制御するために独立ピストン室構造を採用してクラッチの周波数応答を向上させた。第四にトーラスの小型化のためにはオイル流れを最適化した。
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以上の内容は詳細にある参考ページの情報を参考にした。
S5-DPTS型ディーゼルエンジン
減速エネルギー回生システム i-ELOOP を搭載しない SKYACTIV-D 1.5 は S5-DPTS という型式名である。小排気量&コンパクト化に際しては自然法則や空間自由度の制約が厳しくなる問題に対して 2.2 と異なるアプローチで解決している。2.5L ガソリンエンジンに匹敵する最大トルク 250 N・m を発揮するエンジンは特に長距離移動を楽にしてくれる。常用回転数が2000回転以下というのは編者にとって未知の経験だったが、慣れてくるとこれほど運転が楽なエンジンは無いと思える。このエンジンのシステムの詳細、燃費、DPF再生について纏めた。
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以上の内容はSKYACTIV-Dの項目末尾のリンクの情報を参考にした。
Torque Pro
煤が溜まってエンジントラブルを起こすことを避けたいので PM堆積状況と DPF再生状況の把握のために、OBD2 を介して車両側のデータを読み取ることを試みた。OBD2 を介してデータを読み取る方法、そのために用いるスマートフォン用アプリ Torque Pro の使い方、情報を得る為に必要な PID について纏めた。DPF再生の記録と観察した結果については、S5-DPTS型ディーゼルエンジンのページのDPF再生に纏めた。
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MAZDA CONNECT
MAZDA CONNECT とは 2013年に発売された AXELA (BM) に初めて搭載された車に ICT端末としての機能を付与する走行安全性を最優先したシステムの名称である。これは主にセンターディスプレイ、アクティブドライビングディスプレイ、コマンダースイッチから構成される。実現にはヘッズアップコクピットという HMI が構築された。この HMI 実現の為に各ディスプレイ、スイッチ等を検討し設計され改良が加えられ続け、最初に定義したヘッズアップコクピットも常に見直されている。コネクテッドの意義、ヘッズアップコクピットの考え方、システムの詳細について纏めた。
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以上の内容は詳細にある参考ページの情報を参考にした。
i-DM
2011年に発売された DEMIO (DE) 以降のマツダ車に搭載されている i-DM、そのベースとなる思想「統一感あるドライビングフィール」、編者の i-DM に対する取組みについて以下の詳細に纏めた。2011年に商品改良された DEMIO (DE) は SKYACTIV TECHNOLOGY 第一弾として高圧縮比 14.0 (当時世界一) の直噴ガソリンエンジン SKYACTIV-G 1.3 を搭載したのが目玉だったが、ドライバーが運転を楽しみながら、乗員に快適で燃費の良い運転をサポートする世界初の新機能である i-DM を初めて搭載したのも特徴だった。当時は広報資料にその有用性が掲載されていたり、 i-DMによるスコアをユーザー間で競い合う JAPAN DRIVE Fest を実施する等、積極的に宣伝していたものの徐々にトーンダウンしているのが現状である。ただし、システム自体はこれ以降のどの車両にも掲載されているのでこのシステムを活用することでマツダ車に乗っていただく方々に、「走る歓び」を実感頂ける気持ちはずっと変わらないのだと考える。
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以上の内容は詳細にある参考ページの情報を参考にした。
コーティング
LANTIS の頃はユーザーが車両を購入して最初に行なうのが塗装保護のためのワックス掛けだった。ワックスの施工の手間と頻度に辟易し AXELA (BK) の時は途中からコーティングの Bliss NEO に切り替えた。このシリーズは光沢や効果期間の違いでいくつか選択肢がある。ワックスにしろ、コーティングにしろ目的の一つにツヤ出しがあるが、編者はあくまでも塗装保護を第一に考え、汚れが不着し難い事、汚れを落とし易い事、耐久性が有る事を条件に Bliss NEO を選択した。汚れを落とし下地を作り終えたら水洗いの後、水が付いたままのボディにスプレーで吹きかけ、スポンジで伸ばし、再び水で軽く洗い流してから吹き上げるだけ、という簡単な施工が有難い。高密度ガラス繊維系ポリマーと説明にあり、効果期間は約12ヶ月とのことだが、編者は半年に一度程度施工していた。
AXELA (BL) に乗り換えた時、ボディコーティングMG-5 を施した。メーカー純正オプションの当時のコーティングMGシリーズはガラス系コート剤使用で、MG-1、MG-3、MG-5 があった。最後の数字はメンテナンスサポート年数を示し、編者はサポート年数最大のものを選択した。サポート期間中は通常使用状況下で劣化が認められた場合には無償補修されるのと1年に一回専用薬剤の塗布された専用クロスでボディをメンテナンスされるのが保障される。普段のユーザーによるメンテナンスは、付属の専用シャンプーによる水洗い、シミ、異物の除去には専用シミ取り剤、ツヤ、撥水効果が低下した場合にはツヤ・撥水強化剤を使用するよう説明書にある。実際、月一回程度の水洗いとツヤ・撥水強化剤の使用で撥水効果が維持できていたが、6年目を過ぎて7年目に入るくらいの頃に撥水機能が低下してきたように思った。そこで専用シミ取り剤をボディ全体に適用した所、撥水機能が回復した。ボディ色がアルミニウムメタリックで見えない汚れが付着していたのが分からなかったのだろう。汚れが付着したままではツヤ・撥水強化剤の効果が無いと思う。もう少し乗るつもりだったので、2液混合タイプの補修用のコーティング剤を入手して再施工した。塗布用のスポンジと専用拭き取りクロスも必要であった。それ以降はツヤ・撥水強化剤を施す前には水洗いの後にシミ取り剤を用いて表面を整えることにした。編者のメンテナンス工程を以下に記す。通常は月に1回程度単に水だけで洗って埃類を落とす。虫やタール等の目立つ汚れが付着した場合には、その場所だけ水で洗い流した後、水を拭き取らずに専用シミ取り剤を専用スポンジに付けてボディに塗布し軽く擦り汚れを落とす。水と残ったシミ取り材を拭き取った後専用ツヤ・撥水強化剤を塗布して、拭き取る。全体に撥水性が落ちてきたら、まずボディ全体に水を掛け埃類をざっと落としておいてから、専用シャンプーを用いて洗車する。その際ボディーが乾かないように、屋根、ボンネット、左右ドア、リアハッチ、前後バンパー等毎に洗車しながら再び水で洗い流す。水は拭き取らずに濡れたままで、専用シミ取り剤を専用スポンジに付けてボディに塗布し軽く擦る。落ち難い汚れはやや強めに擦る。再び専用シャンプーを用いて洗車し残ったシミ取り剤を取り除き、水分をきっちり拭き取る。最後に専用ツヤ・撥水強化剤を塗布して、拭き取って終わりである。当時はボディ全体にシミ取り剤を適用するのに AXELA (BL) では 1瓶の 8割程度を消費していたと思う。
MAZDA2 を購入の際にボディコーティングとして MG-PREMIUM を施した。成分について説明はないが、MG とは MAZDA GLASS COATING の略ということから従来と同様ガラス系の被膜と思われる。従来のコーティングの持つ「耐衝撃性」、「耐久性」の特性を向上させつつ、被膜硬度を約2倍に高め、撥水性と耐久性を向上させたと説明がある。これを記述しているのは購入後1年が経過した所で数字として違いをはっきりと示せないが、従来のコーティングよりも雨後のボディー表面の雨滴を良くはじいているし、夜間の高速道路走行後も虫の死骸の付着が減ったように感じられる。専用メンテナンス剤を用いた洗車作業、コーティング面の状態の点検を行なうメンテナンスサポート年数は 5年である。普段のユーザーによるメンテナンスについても従来の MG-5 のコーティングと同じような説明がある。ただし、付属するメンテナンスキットのシミ取り剤の品番は同じだが、シャンプーは品番が異なり、ツヤ・撥水強化剤の代わりにメンテナンスコート剤となっており、メンテナンスコート剤はボティに直接塗布するのでなく、専用クロスに塗布してからボディに塗り広げる施工方法が異なる。シャンプーの容量は 270mL、水1L に対してキャップ2杯分(15mL)で薄めよ、とのことだから 18L 分作成できる。編者の普段のメンテナンスも MG-5 で説明した内容とほぼ同じで、ツヤ・撥水強化剤の代わりにメンテナンスコート剤を用いる点が異なる。また、メーカー指定の方法と異なり特に汚れが目立たなくてもシミ取り剤をボディ全体に用いている。ボディ全体にシミ取り剤を適用するのに MAZDA2 では 1瓶の半分程度で済む。
内装分解
ドライブレコーダー設置で各コードを隠すために内装を分解した。分解にあたっては WWW上で検索して説明しているページを参考にした。
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テンパータイヤ
AXELA (BL) は標準ではパンク修理キットを装備しテンパータイヤを装備していなかったので、オプションカタログを見て注文した。いつの頃からかオプションカタログにも掲載されないようになった。テンパータイヤを標準で装備しないのは、おそらく重量増加による燃費悪化の懸念、タイヤ性能向上によるパンクの減少、スペースの有効利用等が理由と思われる。マツダの「CX-3、CX-5、CX-8、CX-30、MX-30、MAZDA2、MAZDA3、MAZDA6、アクセラ、アテンザ、デミオにスペア(テンパー)タイヤのオプション設定はありますか?」を見ると MAZDA2 (DJ) の2WD モデルは装着可能であることが分かった。
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ドライブレコーダー
2022年10月に AXELA (BL) から乗り換えて、ドライブレコーダーの設置を検討した。これを記述している 2022年10月にはどの車メーカーもディーラーオプションでドライブレコーダーを選択できる。マツダも例外ではなく純正扱いになるのは良いが、高価な割にスペックは大したことがないので好みのモデルを設置することにした。初めてドライブレコーダーを設置した 2010年には想像できないほど、様々な機能を持ったモデルが販売されており選択肢が多い。基本的な考え方は AXELA (BL) に設置したドライブレコーダーから変わらないので、メインとして 2カメラモデルである F750 を移設し、サブには 360度全周撮影可能な HDR360G の代わりに CS-360FH をリアウインドーに設置した。
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