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SKYACTIV DRIVE

このページでは SKYACTIV DRIVE に関する話題について記述する。薄灰色背景となっている箇所は各文献からの引用を示す。


  1. 歴史と使い勝手

    2011年6月に SKYACTIV TECHNOLOGY第1弾として DE型 DEMIO のマイナーチェンジで SKYACTIV-G 1.3 が搭載された。同年9月に第2弾として BL型 AXELA のマイナーチェンジで最大トルク 194N・m を発生する SKYACTIV-G 2.0 に加えて初めて SKYACTIV-DRIVE が搭載され、同じトランスミッションが 2013年の CW型 PREMACY、BIANTE のマイナーチェンジモデルにも搭載された。2012年には KE型 CX-5 に搭載された最大トルク 420N・m を発生する SKYACTIV-D 2.2 と GJ型 ATENZA に搭載された最大トルク 250N・m を発生する SKYACTIV-G 2.5 に対応した SKYACTIV-DRIVE が搭載された。即ち、DJ型 DEMIO が発売された 2014年には最大トルクに応じたラージモデルとミッドモデルが存在していた。SKAYACTIV-D 1.5 に対応するモデルはこのミッドモデルをベースに小型化を図っている。具体的にはユニット前後長を25mm、インプット軸(エンジン軸)~デフ軸間距離を10mm短縮している。また、ガソリンエンジンに対してディーゼルエンジンは加振力が大きいので、発進直後からのロックアップを可能とするために、発進装置の振動抑制性能を向上させている。マツダ技報では SKYACTIV-G 1.3用がトルク容量 165N・m に対応するために各抵抗要素の効率改善及び小型軽量化したことに説明を費やし、ほぼ全ての部品を専用に設計した旨、記述されている。対して SKYACTIV-D 1.5用は若干小型化したことと前述の振動抑制によって低回転域においても高いトルク変動減衰性能を得た以外の記述が無いので、大きな変更はないのかも知れない。JC08 モード走行中のロックアップ領域は従来のトランスミッションで 49%、SKYACTIV-DRIVE ミッドモデルで 82%、SKYACTIV-G 1.3用の SKYACTIV-DRIVE で 86% まで拡大している。

    トランスミッションタイプ 6EC-AT
    発売年月 2011年9月 2012年2月
    モデル AXELA(BL) CX-5(KE)
    エンジン SKYACTIV-G 2.0 SKYACTIV-D 2.2
    変速比
    (第1速/第2速/第3速/第4速/第5速/第6速/後退)
    3.552/2.022/1.452/1.000/0.708/0.599/3.893 3.487/1.992/1.449/1.000/0.707/0.600/3.990
    ステップ比 1.757/1.393/1.452/1.412/1.182 1.751/1.375/1.449/1.414/1.178
    レシオカバレッジ 5.930 5.783
    最終減速比 4.056 4.090
    発売年月 2012年11月 2014年11月
    モデル ATENZA(GJ) DEMIO(DJ)
    エンジン SKYACTIV-G 2.5 SKYACTIV-G 1.3
    変速比
    (第1速/第2速/第3速/第4速/第5速/第6速/後退)
    3.552/2.022/1.452/1.000/0.708/0.599/3.893 3.529/2.025/1.348/1.000/0.742/0.594/2.994
    ステップ比 1.757/1.393/1.452/1.412/1.182 1.743/1.502/1.348/1.348/1.249
    レシオカバレッジ 5.930 5.941
    最終減速比 4.056 4.060

    シフトゲートは DY型 DEMIO のアクティブマチック車がスタッガード式、DE型 DEMIO がストレート式で DJ型になってシフトブーツのあるストレート式になった。SKYACTIV-DRIVE 搭載車でも BL型 AXELA、KE型 CX-5、GJ型 ATENZA まではスタッガード式で、BM型 AXELA からシフトブーツのあるストレート式となった。Dレンジから右にレバーを移動するとマニュアルモードとなり、前に押してシフトダウン、後に引いてシフトアップとなるのは BK型 AXELA から同じである。ステアリングシフトスイッチは右がシフトアップ、左がシフトダウン専用のパドル状のスイッチとなり、スポーク上部の押す形式のスイッチが廃止された。マニュアルモードでなくてもシフトチェンジできる仕組みであるダイレクトモードも BL型 AXELA と同じで、更にシフトアップスイッチを一定時間以上手前に引くとダイレクトモードが解除され自動変速に戻る機能が追加された。ガソリンエンジン車にある走行モードを切り替えるドライブセレクションはディーゼルエンジン車には装備されない。このトランスミッションの使い勝手には不満が全くない。低速でぎくしゃくすることもなく、シフトショックがなく、変速応答時間も短く、ダイレクト感が素晴らしい。i-DMを意識したしなやかな運転を心掛けている時にはマニュアルモードを使わない方が良い位、自動変速は優秀と思う。BL型 AXELA のトランスミッションにあった AASモードが搭載されており、下り坂では無駄なシフトアップも無いし程良くエンジンブレーキが効き、フットブレーキによる減速時にはシフトダウンしてくれる。市街地では第4速の守備範囲が広く第5速に入ることはあまりなく、減速してもせいぜい第3速のままで停止寸前にようやく第2速、第1速となる。一方、高速道路では巡行時で第5速、少し速度域が上がってようやく第6速に入る程度である。渋滞時にはクリープ現象を利用できる。燃費を意識すると更なる多段化という選択肢があるが、トランスミッションの重量とサイズの増加を考慮すると 6速で十分でないかと思う。なお、マニュアルモードでのみメーター内にギア位置が表示されるが、自動変速モードでも Torque Pro を用いると Gear の PID でギア位置を表示できる。

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  2. 6EC-AT と 6MT の比較

    2014年に DJ型 DEMIO が発売された際、6MT仕様のハイギアードでワイドレシオの仕様が話題となった。燃料タンク容量が 35L であったことも含め、カタログ燃費スペシャルモデルとも呼ばれた。MAZDA2 と DEMIO の 6EC-AT仕様、6MT仕様の変速比、ステップ比等、更に変速比、ステップ比のグラフを以下に示す。これを見ると 6EC-AT仕様は DEMIO から MAZDA2 になった際に変更は無いが、6MT仕様では最終減速比がローギアードになったことと後退変速比が変更になっていることが分かる。6MT仕様がワイドレシオになっているのは一目瞭然だが、各ギアでのステップ比の変化を見ると、6EC-AT仕様の第2速から第4速に掛けての変化の方が特異に感じられる。6EC-AT仕様の変速比は 2011年9月に発売された BL型 AXELA に搭載されたものと同じである。マツダ技報によると SKYACTIV-G 1.3用にギヤ段間のレシオステップも最適化とあるので、トルクに余裕のあるディーゼルでは変速比がそのままで対応できると判断したのだろう。

    トランスミッションタイプ 6EC-AT
    モデル MAZDA2DEMIO
    変速比
    (第1速/第2速/第3速/第4速/第5速/第6速/後退)
    3.552/2.022/1.452/1.000/0.708/0.599/3.893 3.552/2.022/1.452/1.000/0.708/0.599/3.893
    ステップ比 1.757/1.393/1.452/1.412/1.182
    レシオカバレッジ 5.9305.930
    最終減速比 3.3893.389
    トランスミッションタイプ 6MT
    モデル MAZDA2DEMIO
    変速比
    (第1速/第2速/第3速/第4速/第5速/第6速/後退)
    3.230/1.652/1.088/0.775/0.580/0.490/3.416 3.230/1.652/1.088/0.775/0.580/0.490/3.454
    ステップ比 1.955/1.518/1.404/1.336/1.184
    レシオカバレッジ 6.5926.592
    最終減速比 4.1053.850
    Gear Ratio

    6EC-AT と 6MT の変速比の比較

    Gear Ratio Step

    6EC-AT と 6MT のステップ比の比較

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  3. ディーゼルエンジン車の比較

    排気量の異なるディーゼルエンジン搭載車の変速比を比較した。代表として MAZDA2(S5型、2021年5月諸元)、MAZDA3(S8型、2024年12月諸元)、MAZDA6(SH型、2022年12月諸元) の FF、6EC-AT仕様の変速比、ステップ比、同じ変速比の車両とその最終減速比等、更に変速比、ステップ比のグラフを以下に示す。このように MAZDA2 と MAZDA6 のトランスミッションの変速比とステップ比の変化は酷似しており、MAZDA3 のみ異なる。異なるとはいっても大きな違いは前者の第3速がローギアードになっているだけで、レシオカバレッジについて MAZDA2 と MAZDA3 は同じ、MAZDA6 が若干クロスレシオ気味になっている程度である。MAZDA6 の変速比は 2012年2月に SKYACTIV-DRIVE を搭載した CX-5(KE) の変速比と同じで、SKYACTIV-D の搭載車両の項目に示した新旧 SH型エンジンの搭載車両の 6EC-AT は全て同じ変速比を持つ。S5型エンジン搭載車両の 6EC-AT は全て同じ変速比だが、CX-3 については S8型エンジン搭載車両でも 変速比は MAZDA2 と同じである。こうやって並べてみると DJ型の最終減速比が一番ハイギアードであることが分かる。

    トランスミッションタイプ 6EC-AT
    モデル MAZDA2MAZDA3MAZDA6
    エンジン S5型S8型SH型
    変速比
    (第1速/第2速/第3速/第4速/第5速/第6速/後退)
    3.552/2.022/1.452/1.000/0.708/0.599/3.893 3.552/2.022/1.347/1.000/0.745/0.599/3.052 3.487/1.992/1.449/1.000/0.707/0.600/3.990
    ステップ比 1.757/1.393/1.452/1.412/1.182 1.757/1.501/1.347/1.342/1.244 1.751/1.375/1.449/1.414/1.178
    レシオカバレッジ 5.930 5.930 5.783
    最終減速比 3.389 4.095 3.804
    搭載車両と最終減速比 DEMIO(DJ)3.389 CX-30(DM)4.367 AXELA(BM 2.2L)3.804
    AXELA(BM 1.5L)4.056 ATENZA(GJ)3.804
    CX-3(DK 1.5L)3.591 CX-5(KE)4.090
    CX-3(DK 1.8L)3.591 CX-5(KF)4.090
    CX-8(KG)4.411
    Gear Ratio

    MAZDA2、MAZDA3、MAZDA6 の変速比の比較

    Gear Ratio Step

    MAZDA2、MAZDA3、MAZDA6 のステップ比の比較

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  4. 参考ページ

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