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Torque Pro PID

このページでは Torque Pro PID の詳細について説明する。本ページの内容は編者が 2022年10月に購入した MAZDA2 に搭載されたS5-DPTS型ディーゼルエンジンで試したもので、参考ページはTorque Pro の参考ページと同様である。Long name の値は別のメーターの計算式内の変数としても用いられる。Short name はメーターに表示される文字列で、日本語に変更している人もいる。定義済みセットの項目が無い PID は Torque Pro に標準でセットされているものである。


  1. DPF Regeneration Distance

    Long name DPF Regeneration Distance
    Short name DPF REG DIS
    OBD2 Mode and PID 220434
    Equation ((B<16)+(C<8)+D)*100/65536
    OBD Header to use 7E0
    Unit type km
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    前回の DPF再生が終了してからの距離を示す。編者の MAZDA2 の観測の範囲では最小値が 161km、最大値が417km である(2024年10月現在、約4.1万km走行時)。DPF再生時にはポスト噴射によって燃費が悪化するし、PM が DPF に堆積する速度が速ければこの距離も短くなるので、できるだけこの値が大きい方がエンジンの状態としては好ましいと思われる。DPF再生のトリガーはいくつかあるようだが、この値が 400km を超えるのが条件の一つのように見える。編者の場合、2024年10月現在で DPF Regeneration Count が 155回中、前回の DPF再生が終了してから 4回 400km で再生が開始したので、このように判断した。SKYACTIV-D 2.2 では 500km が閾値とも言われている。

    演算子 < はビットシフトを示し、(B<16) は Bの値を 65536倍、(C<8) は Cの値を 256倍することを示す。

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  2. DPF PM Accumulation

    Long name DPF PM Accumulation
    Short name DPF PM ACC
    OBD2 Mode and PID 22042C
    Equation (A*256+B)*100/65536
    OBD Header to use 7E0
    Unit type g/l
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    Torque PID for MAZDA SKYACTIV-D では DPF差圧などから推定されたPM堆積量と説明されている。DPF再生のトリガーはいくつかあるようだが、この値が 6g/l を超えるのが条件の一つのように見える。ただし、超えたから直ぐ再生が開始するのではなく、越えて暫くしてからというのが多い。この値は単調増加ではなく、減少することもある。暖気中、加速中等は増加、登坂中、高速度での巡行中等は減少するようだ。エンジンの負荷だけに依存しているのではなく、Exhaust gas temp Bank 1 Sensor3 の値が高温を維持していると減少するように見える。DPF再生の終了時にはこの値が 0g/l になることが多いが、これ以上の値でも終了したり、 0g/l になってもDPF再生が暫く続くこともある。最小単位は 100/65536 = 0.0015… なので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 3 に設定している。

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  3. DPF PM Generation

    Long name DPF PM Generation
    Short name DPF PM GEN
    OBD2 Mode and PID 22042D
    Equation (A*256+B)*100/65536
    OBD Header to use 7E0
    Unit type g/l
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    Torque PID for MAZDA SKYACTIV-D では エンジン回転数、吸気量、燃料噴射量などから推定されたPM生成量と説明されている。DPF PM Accumulation とは異なり、この値は単調増加である。DPF再生のトリガーはいくつかあるようだが、この値が 6g/l を超えるのが条件の一つのように見える。ただし、超えたから直ぐ再生が開始するのではなく、越えて暫くしてからというのが多い。DPF再生の終了時にはこの値が 0g/l になることが多いが、これ以上の値でも終了したり、 0g/l になってもDPF再生が暫く続くこともある。この値よりも DPF PM Accumulation の値の方が大きい場合には、DPF PM Accumulation の値が 0g/l になるより早くこの値が 0g/l となり、それを暫く維持したまま DPF再生が続き、終了した途端に、これが 0g/l 以上の値を示すことがある。最小単位は 100/65536 = 0.0015… なので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 3 に設定している。

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  4. DPF Regeneration Count

    Long name DPF Regeneration Count
    Short name DPF REG CNT
    OBD2 Mode and PID 220432
    Equation A*256+B
    OBD Header to use 7E0
    Unit type
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    DPF再生の回数を示す。ディーラーでマツダ専用の診断機を接続し、この値と DPF Regeneration Distance 01~10 を表示してもらうと、DPF Regeneration Distance 09 と 10 の値が 0 の時にこの値が 9 だった。即ちこの値から 1 を引いた値が過去に完了した DPF再生の回数と思われる。整数値なので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 0 に設定している。

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  5. DPF Differential Pressure

    Long name DPF Differential Pressure
    Short name DPF DP
    OBD2 Mode and PID 22F47A
    Equation (SIGNED(B)*256+C)/100
    OBD Header to use 7E0
    Unit type kPa
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    Torque PID for MAZDA SKYACTIV-D では DPF差圧(DPF前後の排気圧の差分)と説明されている。この値はアクセル開度に応じて変動する。DPF が煤等が堆積し始めると値が大きくなるが、編者の観察した範囲では 20kPa を超えることはあまりない。DPF再生のトリガーの一つとも言われているが、値の変化が激しいので良く分からない。いろいろ検索してみると、エンジン回転数が何回転の時にこの値が幾つかで PM堆積量と併せて状況を判断するようだ。

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  6. DPF Regeneration Distance 01~10

    Long name DPF Regeneration Distance 01~10
    Short name DPF REG DIS 01~10
    OBD2 Mode and PID
    Equation
    OBD Header to use
    Unit type km
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D 1.5

    過去 10回分の DPF再生が終了してからの距離を示す。01 が一番新しいもの、10 が一番古いものとなる。これは実際に DPF Regeneration Distance で記録された値とは異なる。ディーラーでマツダ専用の診断機を接続し、これらの値を表示してもらったところ、アプリで表示される値は 30 大きかった。また、元のデータ 1Byte を 2倍にして表示しているようなので、最大値は 255 × 2 = 510 となるので、アプリでは 540 が最大値となる。この値を積算しても総走行距離にならないが、値が小さいときは DPF Regeneration Distance の値も小さいし、逆も然りだから概ねの傾向を表している。整数値なので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 0 に設定している。

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  7. DPF Regeneraion Status

    Long name DPF Regeneraion Status
    Short name DPF REG STS
    OBD2 Mode and PID 220380
    Equation {A:1}
    OBD Header to use 7E0
    Unit type ON/OFF
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    DPF再生の動作状態を示し、稼働中は 1 となり、それ以外では 0 となる。ただし、DPF再生が始まってから停車すると、この値は 0 を示し、エンジンは停止せず、センターディスプレイの燃費モニターで「i-stopできません DPF内のPM除去を優先しています」と表示される。メーターの種類で「On/Off display」を選択すると On になった際あたかもインジケータが発光している表示になる。DPF再生が始まってからこの値が 0 となると、Exhaust gas temp Bank 1 Sensor3 の値が下がってくるので、ポスト噴射の際この値が 1 になるのかも知れない。

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  8. Exhaust gas temp Bank 1 Sensor3

    Long name Exhaust gas temp Bank 1 Sensor3
    Short name EGTB1S3
    OBD2 Mode and PID ff1283
    Equation
    OBD Header to use
    Unit type

    排気系の温度を示す PID はいくつかあるが、この PID が DPF周辺の温度を示すとの情報を得て使用している。実際、DPF再生が開始すると温度が上昇し最大で 600度程度となり、終了すると温度が下落してくる。通常走行時で 200度前後、高速度だと 300度程度になっている。高速度走行時には DPF PM Accumulation の値の上昇が緩やかになったり、減少することがある。逆に、暖機運転直後や市街地走行時にこの値は100度少し位で、取扱説明書の DPF の項目にある条件と似ているので常にこの値が高い状態を保つことが PM堆積の減少には有利と考えている。小数点以下の数字があると見辛いので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 0 に設定している。

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  9. EGR A Valve Position

    Long name EGR A Valve Position
    Short name EGR A POS
    OBD2 Mode and PID 22f469
    Equation C*100/255
    OBD Header to use 7E0
    Unit type %
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    エンジン始動直後から暖気終了時まで、こちらのバルブしか開かないので、S5-DPTS型ディーゼルエンジンシステム 中の HP(Hith Pressure) EGR Valve の開度と思われる。値はパーセントで表示される。走行時には 40% 以下が多く、最大でも 70% 程度の値を示している。EGR B Valve Position と比べると高い値を示している時間が少ない。アイドリングストップ時、DPF再生時には 0% となっている。

    なお、SKYACTIV-D 2.2 では Hot HP EGR のバルブの開度のようだ。

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  10. EGR B Valve Position

    Long name EGR B Valve Position
    Short name EGR B POS
    OBD2 Mode and PID 22f469
    Equation F*100/255
    OBD Header to use 7E0
    Unit type %
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    エンジン始動直後から暖気終了時まで、こちらのバルブは開かないので、S5-DPTS型ディーゼルエンジンシステム 中の LP(Low Pressure) EGR Valve の開度と思われる。値はパーセントで表示される。暖気が終了して、巡行時には 89.0% を示していることが多い。それ以外でも 0% になることは少なく、 NOx の発生抑制には LP EGR を主に利用していると思われる。EGR A Valve Position と比べると高い値を示している時間が多い。アイドリングストップ時には 0.4% となっている。

    なお、SKYACTIV-D 2.2 では Cooled HP EGR のバルブの開度のようだ。

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  11. Intake Shutter Valve Position

    Long name Intake Shutter Valve Position
    Short name ISV POS
    OBD2 Mode and PID 22f411
    Equation A*100/255
    OBD Header to use 7E0
    Unit type %
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    インテークシャッターバルブの開度をパーセントで示す。概ねアクセル開度に比例した動きのように見えるが、ディーゼルエンジンのインテークシャッターバルブはガソリンエンジンのスロットルバルブに相当するものではない。EGRガスの流量を調整するバルブのようだ。EGR A Valve PositionEGR B Valve Position、Intake Shutter Valve Position のいずれも値の変化が激しく、状況に応じて緻密に制御していることが伺える。これらの値の変化を把握することで PM抑制の乗り方(アクセルワーク等)が可能となるかと思って観察しているが、正直良く分からない。アイドリングストップ時には 80% となっている。

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  12. Gear

    Long name Gear
    Short name GEAR
    OBD2 Mode and PID 221a12
    Equation LOOKUP(A:A:50=’N’:60=’R’:70=’P’)
    OBD Header to use 7E1
    Unit type
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    セレクトレバーの位置、またはマニュアルモード、ダイレクトモードのギア位置を示す。セレクトレバーがドライブの場合はギア位置を示すので、自動変速の様子が可視化できて便利である。整数値なので、編者はメーター(画面、display)の設定で表示する小数点以下の桁数(Number of decimal places)を 0 に設定している。

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  13. Total Distance

    Long name Total Distance
    Short name TOTAL DIST
    OBD2 Mode and PID 22dd01
    Equation (A<16)+(B<8)+C
    OBD Header to use 7E0
    Unit type km
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    走行した総距離を示す。

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  14. Battery Estimated State of Charge

    Long name Battery Estimated State of Charge
    Short name BAT SOC
    OBD2 Mode and PID 224028
    Equation A
    OBD Header to use 7E0
    Unit type %
    定義済みセット MAZDA SKYACTIV-D

    バッテリーの充電率をパーセントで示す。

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