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TT-R250 メーター変更

このページでは TT-R250 (4PXA) で変更したメーターについて詳細を記述する。


  1. ACEWELL製 MD-052-353

    メーターワイヤーセンサー

    ACEWELL製の MD-052-353 は、同梱のメーターワイヤーセンサーを用いると車両のメーターケーブルを接続してスピードを計ることができる。このセンサーはアナログメーターのメーターワイヤー取付部とメーターワイヤーの間に接続することもでき、メーターワイヤー取付部に接続しない場合は写真のようにキャップを被せることになる。残念ながら、このセンサーを固定するボルト孔等は開いていないので、アルミニウム板で挟んで固定した。このセンサーを用いない場合には、オプションのマグネットセンサーを使用できる。

    TT-R250 の場合他の車両と同様にメーターワイヤーは前輪車軸に設置されたメーターギヤに接続されている。これは JIS規格で時速 60km/h の際 1400rpm と規定されている。つまり 1分間に 1000m、即ち 106mm 進む間に 1400回転するので、メーターワイヤーが1回転する間に進む距離を 106 / 1400 = 714mm に設定した。

    ピックアップコイルコネクタ

    MD-052-353 はタコメーターの信号入力に2系統用意されている。1つはプラグコードに数回巻きつけたビニル被覆線をメーターの黄色線に接続する方法で、残念ながら TT-R250 ではタコメーターは動作しなかった。もう一つは、イグニッションコイルの一次側かピックアップコイルの出力をメーターの灰色線に接続する方法である。イグニッションコイルの一次側を接続する方法ではタコメーターは動作しなかったが、ピックアップコイルの出力を接続する方法でタコメーターが動作するようになった。

    A.C.マグネト出力のコネクタは、リアクッション取り付け部のフレーム左側のキャブレータ傍にある。ピックアップコイルの出力は、いわゆる110型2極のコネクタで接続されている。写真右側の青色線と黄色線が繋がっているコネクタがそれで、写真では交差していて逆に見えるが、上側が青色線でマイナス、下側が黄色線でプラスである。オリジナルの配線に手を加えたくなかったので、写真のように中継コネクタを作製してメーターと接続した。車体側の青色線が若草色線に、車体側の黄色線が橙色線とメーター側の灰色線に接続するようにした。サービスマニュアルの配線図では、青色線は CDI側の白/青色線に、黄色線は白/赤色線にそれぞれ接続するようになっている。

    メーター側の信号設定値は 1r1P とした。4サイクル単気筒エンジンなので 2回転に 1回点火と考えて 2r1P に設定すると、表示回転数は倍の値となる。

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  2. rc-Design製 rc-7

    rc-7

    7セグメント 4桁の液晶表示を備えるいわゆるラリーコンピュータである。開発者のブログによると 2013年5月に LEDバージョンを、同年7月に液晶バージョンを発表している。何度かバージョンアップを繰り返し、編者は 2015年11月に Ver.3.2 を購入した。注文直後に Type-F に変更可能の提案があったが、トリップ2削除とのことで断り、Ver.3.2 を選択した。このバージョンは、減算可能なトリップメーターが2系統、燃料トリップメーターが1系統、オドメーター、表示画面を減らした Easyモードを搭載している。写真に示すように大型の液晶表示はコントラストも高く視認性に優れる。その後も進化を続け、執筆時の 2019年5月には 5桁表示のメインディスプレイに 4桁表示の小さなサブディスプレイを装備する機種が販売されている。

    ラリーコンピュータといえば ICO が有名で、以前 2002年2003年2004年2005年 に参加したいわきツーリングで装備する車両がほとんどだった。しかしながら防水性能への不安と何よりも高価なことに購入を躊躇っていた。この機種は取付部のボルトの間隔が ICO と同じ 38mm、本体の操作にトレイルテック製のリモコンを流用、オプションボタンを利用してトリップのリセットが容易、タイヤ周長自動補正機能搭載など多くの特徴を持つ。使用者の声を聞きながら使い易いように設計しているようだ。また本体とリモコン類の接続にはコンパクトな日本圧着端子製造株式会社製 2mmピッチの防水コネクタを使用している。同梱されているのは電源接続用のコネクタ付きハーネスだけなので、スピードセンサーやリモコンなどは別途注文の必要がある。

    詳細な説明書が付属し、走行モードと設定モードの各画面モードでの操作方法、リモコンボタンの操作方法以外にも、本体の取り付け方法、配線の諸注意など丁寧に説明している。コマ図のトータル距離表示用のトリップ1は小数点以下 0桁、1桁、2桁表示が選択できる。コマ図の区間距離表示用のトリップ2は小数点以下 2桁表示で固定で、リモコンボタンによるリセットは2秒長押しだが、この画面に限りオプションボタンによって即時リセットされる。燃料トリップは設定モードで想定燃費と燃料タンク容量の入力が必要で、燃料残り容量も表示できる。オドメーターと最高速度は走行モードではなく設定モードで表示される。設定モードも使う頻度によって2種類に分かれている。初期モデルの説明書が開発者のブログで閲覧できる。

    各メーターはリセット可能で、トリップ1、2は負数の表示、任意の数値の設定(負数も含む)が可能である。オドメーターはリセットのみ可能で、任意の数値は設定できない。各メーターの機能を以下の表に示す。


    リセット任意数値
    設定
    負数
    の表示
    減算
    モード
    オプションボタンによる
    即時リセット
    表示最小単位最高値
    トリップ1
    10m、100m、1km から選択999.99km
    トリップ210m99.99km
    燃料トリップ


    1km999.99km
    オドメーター



    1km9999km
    rc-7 リモコンボタンとオプションボタン

    基本的な操作は写真の 3つボタンのリモコンで行う。画面の切り替えは中央ボタンの短押し、モードの切り替えは中央ボタンの長押し、数値の増減、値の選択は上下ボタン、リセットは上下ボタン同時押し又はリモコン右側のオプションボタン長押し、減算モードは下ボタンと中央ボタンの同時押し、加算モードは上ボタンと中央ボタンの同時押しと覚えることは多くない。減算モードと加算モードの切り替えは走行モード時に中央ボタンの長押しに続いて下ボタンか上ボタンの短押しでも可能である。オプションボタンはリセット以外にも、加算モードと減算モードの切り替え、周長自動補正機能の切り替え、バックライトの点灯と消灯の切り替えも選択できる。

    7セグメントでアルファベットを表現しているので慣れないと分かり難いが、むしろ編者にとっては工作に夢中だった少年時代を思い出して懐かしい。加算モードに戻る際に「GoGo」、減算モードに入る際に「bAck」と表示するのは洒落ていると思う。減算モードでは画面が点滅し続けたり、設定モードで 10秒間無操作で走行モードに復帰するなど実戦的な表示が工夫されている。ボタンの操作方法、メニューの表示順序など随所に現場の声を聞く開発者の姿勢が伺われる。

    [詳細]

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  3. スピードセンサー信号分岐回路

    スピードセンサー信号分岐回路図

    磁石とリードスイッチによってタイヤの回転数を検出する方法が、ラリーコンピュータでは一般的であり、rc-7 でも同様である。4RR2 に乗っていた頃、サイクルコンピュータを設置したが、ワイヤーセンサーケーブルの取り回しと磁石の設置に苦労したので、MD-052 のメーターワイヤーセンサーの出力を分岐して rc-7 で利用することを検討した。MD-52 のスピードセンサーの要件については公式ページに説明があり、センサーは単純にリードスイッチと同様の動作をすることがわかった。メーターワイヤーが時速 60km/h の際 1400rpm ということは時速 180km/h の際 4200rpm となり、70Hz で出力されることになる。ターンオン時間とターンオフ時間が数 msレベルと比較的遅い PhotoMOS リレーでも充分追従できると考えた。そこで、PhotoMOSリレー TLP222A を用いて、Acewell のメーターワイヤーセンサーの出力を2つに分岐した。作成した回路図を左に示す。画像をクリックすると大きい画像を見ることができる。PhotoMOS リレーの入力側 LED に流す電流はデータシートによると IF の最小値が 5mA、最大値が 25mA、標準値が 7.5mA なので 10mA、並列に接続する抵抗への分流値はトリガ LED 電流 IFT の最大値が 3mA なので 3mA、LED の順電圧 VF = 1.15V として計算し、実際には制限抵抗 R1、R2 を 910Ω、シャント抵抗 R3、R4 を390Ωとした。

    スピードセンサー信号分岐回路

    TLP222A はマルツオンラインの通販で、2mmピッチの防水コネクタと端子類は共立エレショップの通販で購入した。2mmピッチ防水コネクタ用の端子の接続には 0.2Sq(AWG24) のビニル電線を用い、ENGINEER製の精密圧着ペンチ PA-09 のダイス幅 1.6mm を用いて端子を圧着した。完成した回路を写真に示す。動作を確認した後、エポキシ系接着剤で回路を固め、自己融着テープを巻き付けて使用した。

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  4. 電源供給

    電源回路

    rc-7 に電源供給するにあたり、それ以外の機器にも供給する汎用の電源回路を作成した。以前 GPS機器に電源供給を試行錯誤した経験を踏まえ、DC-DCコンバータを用いた電源供給に示した回路をベースに 5V供給可能な OKI-78SR-5/1.5-W36-C を追加した回路を自作した。DC-DCコンバータに入力側にはリレーを介してバッテリーと接続し、将来に備え補助灯をリレーを介して点灯できる回路を備えた。5V供給には USB-Aタイプの中継型ソケットを用いた。12Vを供給する rc-7用とスピードセンサー信号分岐回路用には 2mmピッチの防水コネクタ、各種ハンディGPS機器用には 110型コネクタを用い各電線を接続した。電源回路全体をプラスチックケースに収めた。

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